ドローンによる外壁調査の実用化へ、風の影響を軽減する小型赤外線装置と調査用システムを開発 NEDO

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

近接調査用ドローンシステム

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの6機関は2021年4月16日、ドローン飛行時に風などの影響下でも高い性能を維持する小型赤外線装置と、同装置を搭載した外壁調査の精度/信頼性を向上する近接調査用ドローンシステムを開発したと発表した。

現在は地上から赤外線装置を使用して建築物の外壁を調査しているが、仮設足場などを設置する必要があり、建築物所有者の費用負担が大きくなっている。調査期間の短縮やコスト削減効果が見込めるため、ドローンを使用した赤外線検査が試されてきたが、飛行時にはダウンウォッシュなどの風の影響で赤外線装置の性能が低下する恐れがあるなどの問題があった。そこでNEDOなどは、赤外線装置のハードウェア設計を見直し、ソフトウェアを追加。小型/軽量化を図り、低消費電力でも動作するように改良し、ドローンへの搭載に適した小型赤外線装置を開発した。

外壁点検調査用として開発した小型赤外線装置

また、建築物に接近した状態、人口集中地区、GNSSの位置情報が不安定な環境下で赤外線装置を搭載したドローンを運用する場合、安全で安定した飛行が難しいという問題もあった。今回開発した近接調査用ドローンシステムは複数のセンサーを搭載し、GNSSによる位置情報以外に、Visual SLAMやOptical Flow、LiDAR、Range Finderなどを利用できる。特にGNSSの位置情報が不安定な環境下でも安全で安定した飛行ができるように、ドローンが飛行中に自動でVisual SLAMに切り替える技術を開発した。

近接調査用ドローンシステムによる飛行制御の概念図

さらに、SLAM情報を利用して赤外線画像をポスト処理する診断作業支援プログラムも開発。赤外線装置による壁面計測では、太陽光や周辺建物などが映り込んで検査の障害になることがある。また、移動しながら計測するドローンでは、分割された壁面の画像をつなぎ合わせる作業も必要。今回開発した診断作業支援プログラムを使用すれば、SLAM情報を活用して画像を自動でつなぎ合わせることができる。加えて、SLAM情報を利用して、連続して撮影した赤外線画像から重複領域を算出。平均化処理を施し、診断精度に影響を及ぼすノイズ成分を低減する処理を加えることで、外壁診断の信頼性向上を図っている。

可視カメラ(動画)データを利用したモザイキング画像の自動生成と赤外線画像のポスト処理による精度向上

これらの技術を採用したモデル試験体による実験と、実際の建築物を対象とした実証実験を実施。外壁の浮きやはく離を検出する精度を検証した結果、地上に設置する従来の赤外線装置と同等の性能を持つことが確認できた。

小型赤外線装置(開発機)と従来の赤外線装置(地上設置)の性能比較

近接調査用ドローンシステム開発の背景には、建築基準法第12条第1項の規定がある。建築物の所有者に対して、経年劣化などの状況を一級建築士などに調査させて特定行政庁に報告するよう義務付けるものだ。加えて同法施行規則第5条と平成20年国土交通省告示第282号(2008年)では、外壁について原則10年ごとにテストハンマーによる全面打診などによる調査が求められるようになっている。

今回の研究結果は、進行中の「規制の精緻化に向けたデジタル技術の開発/ドローン等を活用した建築物の外壁の定期調査に係る技術開発」の成果となる。日本建築防災協会、日本建築ドローン協会、神戸大学、日本アビオニクス、コンステックの5機関とともに開発した。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る