宇宙空間を汚染しないロケット推進薬を開発――シミュレーションにほぼ一致する到達高度を打ち上げ実験で実現 千葉工業大学ら

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

千葉工業大学は2021年5月11日、日油および宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、宇宙空間を汚染しないロケット推進薬を開発したと発表した。人工衛星や惑星探査機などへの搭載や、他の惑星を汚染しない推進系としての実用化が期待される。

金属燃料を用いた従来のロケット推進薬を使用すると、排気ガスに含まれる金属酸化物などが宇宙ゴミ(デブリ)となり、宇宙空間を汚染してしまう。一方で、金属燃料を用いなければ性能が極端に低下するため、高性能かつクリーンな推進薬の開発が課題となっていた。

3者は、ロケット推進薬の燃料兼結合材として使用される高分子材料に、高エネルギー物質のGlycidyl Azide Polymer(GAP)を採用した。これにより、従来の金属燃料を抜いた推進薬よりも15%以上性能を向上している。

固体ロケットの燃焼器内でGAPを用いた「GAP/AP推進薬」を実際に燃焼させ、性能を評価する実験を複数回行い、確実な着火と安定した燃焼を確認した。千葉工業大学の発表によると、GAPによる推進薬を固体ロケットに用いて燃焼効率や推力発生効率などの性能評価を行った研究はこれまでに例がないという。

さらに2021年3月25日、千葉工業大学千種グラウンドにてGAP/AP推進薬を用いた新小型固体ロケット2機の打ち上げ実験を行った。ロケットは千葉工業大学が設計製作したもので、1号機が全長680mm、重さ534.6g、2号機が全長684mm、重さ552.0gとなっている。

2号機の発射台設置の様子

気圧高度計によると、1号機の到達高度が113.6m(予想到達高度109m)で、2号機の到達高度が77.7m(予想到達高度88m)となった。シミュレーションとほぼ一致する到達高度を実現しており、打ち上げ時の加速度が生じる状況でも正常に燃焼することを確認している。

今後は宇宙空間での実用化を目指し、さらなる小型軽量化と真空環境下での着火特性の評価を進め、宇宙機への搭載および宇宙実証を目指す。

関連リンク

プレスリリース

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る