DMG森精機は2021年6月21日、工作機械の機上で工具の計測および補正を行う「ツールビジュアライザー」の販売を開始したと発表した。
工作機械による加工の際は、工具の形状が切削熱による熱膨張により変化し、加工精度に誤差が生じることがあるため、加工前の正確な工具計測が必要となる。また加工後は、加工不良を防止すべく、工具の摩耗状態を計測する作業も求められる。
一方で、このような作業には作業者の負担や時間を要するほか、正確な計測技術を欠いた場合は生産性低下や加工不良の要因ともなりうることが課題となっていた。
同社が今回発売したツールビジュアライザーは、工作機械の機内で工具形状を取得できる。工具の計測に加えて、工具折損や切りくずの巻きつきなどの工具の異常が検出可能となっている。
また、干渉チェック用の工具モデルの登録や工具刃先の画像取得なども機内で行うことができる。従来機では、これらの作業は機外で行う必要があった。
工作機械の主軸に工具を装着した状態での計測が可能。同社のOSおよび操作盤「CELOS」に情報を入力すれば、干渉チェック用の工具3Dモデルを自動で生成する。
非接触で計測できるため工具の形状や計測ポイントを選ばず、小径から大径までさまざまな工具を計測でき、計測工程の作業時間を短縮できる。
自動で工具補正を実施するため、工具を取り外す必要がないほか、機械を停止せずに刃先の状態を確認し、時間ごとの状態を把握できる。工具刃先を自動で撮影するため、顕微鏡での手動撮影は不要となる。
さらに、2022年1月以降には、AI(人工知能)による自動検出機能を搭載する予定となっている。同機能では、工具刃先の摩耗量を数値化して工具寿命を予測する。