リチウムイオン電池の内部をリアルタイムで観察可能な低コストの画像処理技術を開発

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ケンブリッジ大学の研究チームが、リチウムイオン電池の内部を観察し、電池の充放電に伴ってリチウムイオンが移動する様子をリアルタイムで追跡できる、実験室ベースで低コストの技術を開発した。研究者らは、この技術を用いて充電速度を制限しているプロセスも特定した。この研究は、2021年6月23日付で『Nature』に掲載された。

リチウムイオン電池を改良し、より速く充電できるようにするには、現実的な条件下で機能している材料の中で起こっているプロセスをリアルタイムで追跡し理解する必要がある。現在、電池動作中のリチウムイオンダイナミクスを画像化するには高度なシンクロトロンX線や電子顕微鏡の技術が必要だが、時間と費用がかかるという問題がある。

電池内部で何が起こっているかを実際に調べるには、どうしても顕微鏡に2つのことを同時に実行させなくてはならない。電池の充放電を数時間かけて観察すると同時に、電池内部で起こっている非常に高速なプロセスを捉える必要があるのだ。

今回の研究では、急速に変化するこれらのプロセスを観察するために、干渉散乱顕微鏡法と呼ばれる光学顕微鏡技術を応用した。実験室ベースのシンプルな光学干渉散乱顕微鏡を用いて、散乱光の量を測定することで、コバルト酸リチウム(LCO)の個々の粒子が充放電する様子を観察できた。

研究者らは、LCOが充放電サイクルの中で一連の相転移を起こしている様子を見ることができた。リチウムイオンが出入りするにつれて、LCO粒子内の相境界が移動し変化するのだ。研究チームは、充電中と放電中では、境界移動のメカニズムが異なることを発見した。つまり、リチウムイオン電池は、充電中か放電中かによって速度制限のメカニズムが異なっている。充電時の速度はリチウムイオンが活物質粒子をどれだけ速く通過できるかに依存し、放電時の速度はリチウムイオンがどれだけ速く粒子の端に挿入されるかに依存する。

この2つのメカニズムを制御できれば、リチウムイオン電池の充電速度を大幅に向上させることが可能だ。例えば、ほとんどのスマートフォンやノートパソコンのバッテリーをわずか5分で充電できるようになる可能性がある。

この技術は既存の電池材料の改良に役立つだけでなく、次世代電池の開発を加速する可能性があるという。LCOについて学んだことを利用して、新しい電池材料を開発することができるとしている。

また、この技術は、固体材料内のイオンダイナミクスを調べる極めて一般的な方法であり、ほぼ全ての種類の電池材料に使用できる。この手法はスループットが高いため、電極全体から多くの粒子をサンプリングすることができ、この研究が進めば、電池が故障するときに何が起こるのか、また、どうすればそれを防ぐことができるのかをさらに詳しく調べることもできるようになると考えられる。

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