マクセルは2021年9月16日、硫化物系固体電解質を採用し、従来の全固体電池よりも高出力かつ高電圧に特化したコイン形全固体電池を開発したと発表した。同年11月からのサンプル出荷を予定しており、同社は高電圧と高出力に特化した硫化物系のコイン形全固体電池は世界初だとしている。
開発された電池は、同社が2020年9月に発表したコイン形全固体電池と比べて放電出力は5倍、電圧は約2倍の5Vを実現している。高電圧化は、同社の独自技術である高精度成形の技術を用いて、高充填化による低抵抗化を図り、バイポーラ構造を実現することで可能となった。この電池は従来のコイン形全固体電池と比べて、スペースを約50%低減することが可能で、低温環境での使用可能範囲も-60℃まで拡大することができた。
充電速度もアップし、約30分で電池容量の90%まで急速充電できるようになった。また、同社が2021年3月に発表したセラミックパッケージと組み合わせると、基板への表面実装も可能になる。
同社は、用途として、過酷な温度環境での出力が必要となる機器の非常用電源など産業機械を想定しているが、将来的には自動車への搭載などの活用も期待できるとしている。
今回の全固体電池開発を可能にした技術については、2021年9月29日~10月1日に東京ビッグサイトで開催される「二次電池展」の基調講演で同社が紹介する。