発電量を2倍に――逆回転デュアルタービンホイールを利用した波力発電システム

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豪ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の研究チームは、従来の2倍効率の高い波力発電システムを開発した。海中の逆回転デュアルタービンホイールを特長とするシンプルなデバイスで、太陽光発電、風力発電に並ぶ再生可能エネルギーとして、実用化が期待される。研究結果は、2021年8月2日付けの『Applied Energy』に掲載されている。

現在の再生可能エネルギー市場は、太陽光発電や風力発電が大半を占めているが、太陽や風は1日中利用できるわけではない。これに対し、「波力エネルギーは、1日の約90%を利用可能で、沖合の波が持つ潜在的なパワーは計り知れない」と、研究チームを率いるXu Wang教授は説明する。地球上の波が毎年生むパワーは、世界の年間発電量と同等とも言われている。

波力発電方式のひとつ、波の上下動を利用して発電するポイントアブソーバー式は、一般的に製造面や設置面においてコスト効率が高いとされている。一方で、波の動きに正確に同期するためのセンサーや制御用プロセッサーを搭載することでシステムが複雑になり、耐久性にも課題があるため、実験レベルに留まっている。

RMITは北京航空航天大学とも協力して、波のうねりに合わせて自然に上下しながら発電できる、シンプルかつ経済的なデバイスを開発した。ベルトドライブトランスミッションシステムとシャフトを介して発電機につながった、逆回転デュアルタービンホイールが特長だ。ベルトドライブトランスミッションシステムは、発電機の回転速度を増幅するだけでなく、波による振動や負荷変動を吸収する役割も持つ。発電機はブイに内蔵されているので、海水による腐食から守られ、装置の長寿命化が期待できる。

小型試作機による実験では、11.57%の効率で26.4mWの発電に成功した。ポイントアブソーバー式と比べて、2倍の出力に相当するという。低コストで正確に性能を予測するために、集中定数型解析モデルも開発し、その有効性を実験で実証している。

「波力エネルギーを利用することは、二酸化炭素排出の抑制だけでなく、グリーンエネルギー業界の雇用創出にも貢献する。ほかの環境問題に対しても大きな可能性を秘めている」と、Wang教授は語る。例えば、波力エネルギーから生まれた電力で海水淡水化プラントを動かし、干ばつに苦しむ地域に農業用水を供給することも可能だ。気候変動という課題へスマートに適合するため、研究チームは実物大モデルを作製し、実際の海洋環境でテストしたいとしている。

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