二酸化炭素からでんぷんを人工合成するプロセスを開発――農業によるでんぷん生産を置換する

Image by TIBCAS

温室効果ガスの削減と食料不足の解消は地球規模の課題だが、中国の科学者達は両方の課題に同時に対処できる新たな処理系を開発、科学ジャーナル『Science』に発表した。

中国科学院(CAS)天津工業生物技術研究所(TIB)の開発した「人工でんぷん同化経路(ASAP:artificial starch anabolic pathway) 」は、二酸化炭素を無機触媒を使ってメタノールに還元し、次に酵素によって三炭糖から六炭糖に変換、最終的に高分子でんぷんに変換するハイブリッドシステム。ASAPは、とうもろこしの約8.5倍の速度ででんぷんを合成することができるという。

研究論文の筆頭著者CAI Tao博士は、「現在の技術的パラメーターによれば、1m3の反応炉の年間でんぷん生産量は、理論的に3分の1ヘクタールのとうもろこし畑のでんぷん収量に相当する」と説明する。

TIBは、ASAPはでんぷんの生産を従来の農業栽培から工業生産に転換することを可能にし、二酸化炭素から複雑な分子を合成するための新たな技術への道筋をつけるものだとしている。

TIBのMA Yanhe所長は、「将来的に、プロセスの全体的なコストを経済的に農業栽培に匹敵するレベルまで下げることができれば、耕作地と淡水資源の90%以上を節約できるだろう」とコメントしている。

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