- 2024-3-26
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- Christopher Knittel, インフレ抑制法(Inflation Reduction Act), エネルギーコミュニティ, クリーンエネルギー, バリューチェーン, マサチューセッツ工科大学(MIT), 化石燃料, 天然ガス, 石油, 雇用, 雇用による二酸化炭素排出量
マサチューセッツ工科大学(MIT)は2024年2月5日、エネルギーの転換が雇用に及ぼす影響を分析した研究結果を発表した。研究では化石燃料からクリーンエネルギーへの移行が雇用に及ぼす影響度の高さを「雇用による二酸化炭素排出量」の測定により、群レベルでマッピングしており、今後の政策立案などに役立つとしている。
マッピングでは当然ながら、掘削や採掘作業が盛んに行われるテキサス州西部、モンタナ州とワイオミング州のパウダー川流域など化石燃料の生産地が、最も影響を受ける可能性が高い地域に含まれることが見て取れる。しかし、今回の調査では重工業など他の産業に依存している地域での影響度も測定されており、グレートプレーンズや中西部の工業地帯における影響が特に高いことが分かった。つまり、化石燃料を生産する地域だけでなく、使用する地域においてもエネルギー転換が雇用へ与える影響は大きい。これについて、研究の著者であるMITスローン経営大学院のChristopher Knittel氏は、製造業が盛んな地域での雇用への影響は、化石燃料生産地における影響よりも見落とされやすい傾向にあると示唆する。
実際、アメリカではすでに化石燃料からの移行の影響を受ける地域の経済的負担を軽減することを定めた初の連邦法「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act : IRA)」が、2022年8月にバイデン政権下で成立している。これは化石燃料産業の雇用や税収が多く、失業率が高い場所として定義される「エネルギーコミュニティ」地域の経済プロジェクトに対する税額控除を拡大するものだが、124の郡は「雇用による二酸化炭素排出量」が高いにも関わらず、同法に基づく支援の対象から外れている。
研究者らはエネルギー転換の雇用への影響は石油や天然ガスが掘削される場所だけではなく、アメリカで製造されるもののバリューチェーン全体に及ぶことになると指摘する。そして、こうした経済全体の雇用への影響を理解し、政策へ組み込むのを支援するのが今回の研究の目的だとコメントしている。