- 2021-12-5
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- AI, Daniel Schiff, GSS(総合的社会調査)データ, Luísa Nazareno, Technology in Society, ジョージア州立大学, ジョージア工科大学, 労働, 自動化, 雇用
仕事の自動化やAIの活用は、単に人間から雇用機会を奪うのではなく、労働力を補完することで人々の生産性と賃金の向上につながると期待されている。しかし、世界中のさまざまな都市で起こっているストライキの映像を見て「生産性について本当に関心があるなら、労働者の幸せを考慮するべきだ」と感じた研究者たちがいた。
ジョージア工科大学のDaniel Schiff氏とジョージア州立大学のLuísa Nazareno氏は、2002~2018年のGSS(総合的社会調査)データを利用して、職場における自動化やAIの活用が、仕事への満足度、ストレス、健康、不安に与える影響を予測できるか評価した。
調査結果からは、自動化のリスクに直面してる労働者は仕事のストレスは少ないが、健康の悪化に苦しみ、仕事への満足度が非常に低いかもしれないと分かった。こうした傾向は、受付、税務申告書作成者、レジ係、クレジットアナリスト、食品技術者といった人々や、輸送、ロジスティクス、オフィスや業務補助といった職種に多かった。
「自動化で自由が増えるという楽観的な見方があるが、仕事に対する意義を失うという考えもある」とSchiff氏は、調査結果から相反する概念をいくつかを見出した。「トラック運転手は今や助手席に座っていても良い時代になっている。仕事は簡単になったが、必ずしも良くなったわけではない。ストレスは減ったかもしれないが、意欲をかき立てられたり、挑戦的で意味のある仕事をしているわけではない」と指摘する。また、自動化によって労働者が監視され、数値化されることで、不安を感じている場合もある。
研究者らによると、自主性は労働者の幸せを促進する要因だという。政府や企業が労働者への悪影響に対処できる1つの方法は、労働者に何が起きているかを知らせ、権限を与えたり、自動化のプロセスに関わらせることだと提案している。そうすることで、労働者は自主性を失ったように思うことなく、監視されている、機械に指示されているなどと感じることもない。企業が労働者をどのように関わらせるかが非常に重要だとしている。
調査結果は、2021年9月10日付けで『Technology in Society』に掲載されている。