- 2022-1-7
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- CO2バッテリー, Energy Dome, エネルギー貯蔵, エンジニアリングコンセプト, リチウムイオンバッテリー, リチウムイオン電池, 二酸化炭素(CO2), 学術, 投資ラウンドシリーズA
伊Energy Domeは2021年11月29日、投資ラウンドシリーズAで1100万ドル(約12億6000万円)の資金調達を完了したと発表した。同社は2019年設立の、二酸化炭素(CO2)をソリューションの一部として用いて気候変動と闘うエネルギー貯蔵技術企業だ。今回調達した資金は、低コストかつ長寿命であるCO2バッテリーの実証プロジェクトと事業成長促進のために用いられる予定だ。
低炭素経済への移行には、再生可能なエネルギー源だけでなく、需要と供給のバランスを取るためにエネルギーを効果的に貯蔵する方法も必要だ。
Energy Domeの技術は効果的かつ低コストで、長期エネルギー貯蔵を実現し、革新的でありながらすぐに市場に投入できるものだ。同社は2年足らずでエンジニアリングコンセプトを現実のものとし、特許を出願。イタリアのサルディーニャ島に2.5MW/4MWhの実証プラントを建設中だ。2022年第1四半期に試験と検証を行う予定となっている。
また、同社は資金調達と並行して、最初の商業プロジェクトとして、戦略的投資を行う伊A2Aと100MWhグリッド接続CO2バッテリーを展開するための覚書を締結した。
Energy Domeの技術は、CO2を気体から液体、そしてまた気体へと変化する閉ループサイクルで使用する。CO2は常温で加圧して液化させることができ、液体として貯蔵できる数少ない気体の1つだ。気体状態のCO2で満たされた膨張式の大気ガスホルダーを「ドーム」と呼び、充電時には電力網から電力を取り込みモーターに供給する。モーターはコンプレッサーを駆動し、ドームからCO2を取り出して圧縮し、熱を発生させて熱エネルギー貯蔵装置に貯蔵する。その後、常温で、CO2を加圧して液化し液体CO2容器に貯蔵して、充電サイクルを完了する。
放電時には、充電サイクルが逆になる形だ。液体のCO2を蒸発させ、熱エネルギー貯蔵装置から熱を回収し、高温のCO2をタービンへと膨張させて発電機を駆動する。電力は電力網に戻され、CO2は大気中に放出されることなくドームを再び膨らませ、次の充電サイクルに備える。
重要なのは、このCO2バッテリーが、太陽光発電の余剰電力がある日中に充電し、太陽光発電が需要を下回る夕方から翌朝にかけてのピーク時には送電できるという点だ。
使用されている閉じた熱力学的プロセスは特許取得済みで、CO2バッテリーは75〜80%の往復効率を達成している。さらに、リチウムイオンバッテリーは設計寿命の7~10年の間にその性能が大きく低下するが、このCO2バッテリーは25年と予測されている運用年数の間、その性能を維持する。その結果、エネルギー貯蔵コストは同サイズのリチウムイオン電池に比べて約半分になる予定だ。
このシステムの蓄電可能最大容量は200MWhで、独立系電力会社、グリッド運用事業者、産業用途、遠隔マイニング運用など、幅広い顧客をターゲットにしている。
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