音響イメージング技術と機械学習により、列車の圧縮空気漏れを自律的に検出報告する概念実証システム――走行中の列車でも動作

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Credit: Courtesy of SwRI

米Southwest Research Institute(SwRI)が、列車内の圧縮空気漏れを自律的に検出し、その位置を技術担当者に伝達する概念実証システムを開発したと発表した。SwRIは、2022年10月11〜13日に米テキサス州で開催された、北米の鉄道関連業界団体であるRail Supply Institute主催の「2022 RSI Expo and Technical Conference」でこのシステムの開発について発表した。

列車は、エアブレーキ、バルブの作動、ラジエーターシャッター、警笛、ベルなど、さまざまな機能に圧縮空気を使用している。空気漏れが発生すると、燃料消費が大幅に増加し、機関車の自動エンジン停止始動(AESS)システムの効果が低下してしまう。その結果、機関車がより多くの燃料を燃やすことになり、スターター、エアコンプレッサー、バッテリーなどの部品の寿命が短くなる。鉄道業界では毎年、列車のさまざまな箇所で発生する空気漏れにより、車両の効率が2~3%低下していると推定されている。

現在、空気漏れを見つけるには、鉄道職員が手作業で探す必要がある。多くの場合、鉄道車両の上下や車両間に整備担当者が入り、聴覚や触覚で空気漏れを探している。この方法は非効率的で時間がかかり、担当者に不必要なリスクをもたらす。それに対し、米国連邦鉄道局(FRA)と鉄道会社は、列車の許容空気漏れ率の概要を示している。

SwRIは、こうした空気漏れを大幅に減らすため、音響検出技術、カメラ、機械学習を用いて、走行中の列車でも自律的に空気漏れを検出し、その位置を特定して報告するシステムを開発した。

このシステムには、小型の設置型音響カメラであるFluke Process Instruments製「SV600 Fixed Acoustic Imager」(以下、SV600)を使用している。SV600は64個のデジタルMEMSマイクロフォンと可視光カメラ1台を備え、人間の目や耳では分からない空気漏れやガス漏れを音響イメージング技術によって可視化する製品だ。背景雑音から圧縮空気漏れの音が最も際立つ周波数30~45kHzを検出するように調整されており、補助的な可視スペクトルカメラと連携して動く。

研究チームは、検出プロセスを自動化するために、機械学習アルゴリズムをトレーニングして実装。センサーの出力から空気漏れを特定する一方で、空気漏れとは関係ない出力は無視するようにした。

プロトタイプシステムのテストでは、機関車のさまざまな場所での空気漏れを検出でき、誤検出率はわずか0.03%だった。また、走行中の列車では、平均して13件のうち11件の空気漏れを検出できた。システムが空気漏れを特定すると、点検や修理を必要とする箇所が画像とともにアラート表示され、適切な職員に共有された。

この自律検出システムは、さらに現場での開発とテストをする必要があるが、空気漏れの発見と修理に必要な時間、コスト、労働力を削減し、鉄道業界の燃料消費量と排ガスを全体的に減らせる可能性があるとしている。

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SwRI DEVELOPS AUTOMATED SYSTEM TO DETECT COMPRESSED AIR LEAKS ON TRAINS

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