「フォスフォレン・ナノリボン」で次世代太陽電池を高性能化する

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驚異の素材として注目されるフォスフォレン・ナノリボンにより、次世代ペロブスカイト太陽電池の効率を向上させることが実証された。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(ロンドン大学、UCL)とインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームが、1原子層のリン原子から構成される2D材料フォスフォレンのナノリボンを、ペロブスカイト太陽電池に組み込み電池の効率を劇的に向上できることを実証した。フォスフォレンは、グラフェンを上回る電子および電子光学的な特徴を有することから、電子デバイスや光電子デバイスなどを高性能化する可能性が理論的に予測されていた。今回、太陽電池への実証例を示したことで今後の応用開発を加速するものと期待される。研究成果が、2021年12月17日に『米国化学会誌』において公開されている。

炭素原子の2Dシートであるグラフェンのように、リン原子の2Dシートであるフォスフォレンは、2014年に黒リンから単層の原子シートを分離できることが分かった。そして電荷キャリアであるホールの移動度が高く、グラフェンにはない可視領域および近赤外領域に対応するバンドギャップを有するなど、電子デバイスや光電子デバイスにとって有用な性質を持っていることが明らかにされた。

こうしたことから世界的にフォスフォレンの研究が活発化し、高効率トランジスタや高性能光電子デバイス、次世代太陽電池、医用生体デバイスなどへの応用の可能性が理論的に予測されてきた。UCLの研究チームは、2019年に溶液法によりフォスフォレンシートを作成する研究の過程で、偶然にフォスフォレンのナノリボン(PNR)を創成することに成功した。このほど、PNRを用いて、次世代太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池(PSC)のエネルギー変換効率を向上する研究により、PNRの有用性を実証することにチャレンジした。

従来のシリコン太陽電池と異なり、PSCは低コストの印刷技術により薄くてフレキシブルなフィルムとして製造できるため、次世代太陽電池として注目されている。研究チームは、PNRも界面薄膜層として印刷しPSCに追加することで、太陽電池としての機能と効率を向上することを検討した。そして、平面型PSCへのPNR導入実証試験により、変換効率を通常のシリコン太陽電池と同等の21%以上、曲線因子(fill factor)を極めて高い0.83以上に向上できることを確認した。更に、PNRが電荷キャリアであるホールをペロブスカイト層から多く注出でき、ホール移動度を向上することによって、デバイス層間の導電性を向上できることを立証した。

研究チームは、「高機能太陽電池を得る有望な方法として、PNRに関する実験的な証拠を提示するとともに、PSCを超える次世代の光電子工学デバイスへの応用に向けて汎用的な可能性を示すことができた」と説明している。更に、ナノリボン表面を制御することによって、PNRの電子的特性を更に向上することも計画している。

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‘Wonder material’ phosphorene nanoribbons live up to hype in first demonstration

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