ウェアラブルなスマートデバイス向けプリンテッドエレクトロニクスを考察する

CREDIT: Wei Wu’s group

ウェアラブルデバイスの飛躍的な普及に伴い、フレキシブルな蓄電デバイスの需要が急増している。その中でも、柔軟な電気二重層コンデンサ(フレキシブルスーパーキャパシタ:FSC)は、軽量で安全性が高く、他とのデバイスとの統合が容易にできるという特徴から、研究が進められてきた。そして、印刷技術を用いて基板上に電子デバイスを作製するプリンテッドエレクトロニクス技術は、FSC製造において、経済的でシンプルかつ拡張性のある手法だと証明されている。

武漢大学と湖南大学の研究チームは、プリントFSCについて、機能性インクの配合、印刷可能な電極の設計、他の電子機器との機能統合などの面からのレビューを、『Applied Physics Reviews』誌に2021年6月8日付で提供した。

一般的に、プリントFSCは従来の有機や無機の電極材料に、機能性インクを印刷してフレキシブルな基板上に作製する。薄膜構造であるため、電気化学的機能を損なうことなく、一定の範囲内で曲げ伸ばしが可能だ。また、従来のスーパーキャパシタでは硬い材料を用いる集電体も、フレキシブルな印刷材料に置き換えることができる。FSCを印刷する方法としては、スクリーン印刷、インクジェット印刷、3D印刷などさまざまな印刷技術が確立されている。

今回研究チームは、インクの配合について、従うべき2つの原則を明らかにした。1つは、インクの成分には、効果のない添加物が少なく、より優れた導電性バインダーと分散電極材料が含まれていること。もう1つは、優れた印刷結果を得るために、インクが適切な粘度と良好なレオロジー特性を有することだ。インクの中核となる材料として、グラフェンや疑似容量性材料などの機能性材料が優れているという。

プリンテッドエレクトロニクスは、柔軟性と低コストという利点から、太陽電池、フレキシブルな有機ELディスプレイ、トランジスタ、RFIDタグをはじめとする統合型スマートデバイスに利用可能だ。その結果、スマートテキスタイルやインテリジェントパッケージング、スマートラベルなどへの、幅広い応用も期待できる。

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