水から水素を急速かつ効率的に発生させる、アルミニウムナノ粒子の新しい生成手法――通常の大気圧と室温で実現可能

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Credit: Amberchan et al., Applied Nano Materials 2022

水を分解して水素ガスを周囲条件下で急速に生成するアルミニウムナノ粒子を作る新しい方法が開発された。この方法ではガリウムを多く含むアルミニウム複合材料を用いる。この研究はカリフォルニア大学サンタクルーズ校によるもので、2022年2月14日付で『Applied Nano Materials』に掲載された。

アルミニウムは反応性の高い金属で、水分子から酸素を奪って水素ガスを発生させることができる。アルミニウムは空気と瞬時に反応して酸化アルミニウムの皮膜を形成するため、それ以上の反応は阻止される。研究者たちは長年、アルミニウムの反応性を利用して、クリーンな水素燃料を生成する効率的でコスト効果が高い方法を見つけようとしてきた。

今回の研究では、簡単に製造できるガリウムとアルミニウムの複合材料が、室温で水と急速に反応して大量の水素を発生させるアルミニウムナノ粒子を生成することを明らかにした。

アルミニウムとガリウムの水との反応は1970年代から知られている。ガリウムは室温より少し高い温度では液体で、酸化アルミニウムの不動態皮膜を除去してアルミニウムと水とが直接接触できるようにするため、反応が起きる。しかし、これまでの研究では、アルミニウムとガリウムの混合物でもアルミニウムを多く含むものを用いることがほとんどだった。

それに対し、今回の研究では、ガリウムを多く含む複合材料で水素生成量が予想外に増加することを発見した。この水素生成量の予想外の増加はアルミニウムナノ粒子の形成によって説明できるのではないかと考え、ナノスケール特性評価を行った。走査型電子顕微鏡とX線回折を用いて調べたところ、ガリウムとアルミニウムを3対1の割合で混合した複合材料内にアルミニウムナノ粒子が形成されていることが確認され、この比率が水素生成に最適であることが分かった。

ガリウムを多く含む複合材料では、ガリウムが酸化アルミニウム皮膜を溶かすと同時に、アルミニウムをナノ粒子に分離させ、ナノ粒子が凝集して大きな粒子にならないようにしている。これまでアルミニウムのナノ粒子を生成するのは困難だったが、今回の手法では通常の大気圧と室温の条件下でナノ粒子を生成できる。また、この複合材料を作るのは単純な手作業のみで可能だ。

この複合材料による水分解反応は周囲条件下かつ中性pHで起き、複合材料1g当たり130mL(5.4mmol)の水素を急速に発生させる。複合材料中のアルミニウムが全て反応した場合に理論的に生成される水素の90%を得ることができた。さらに、この水分解反応では廃水、市販の飲料水、海水などあらゆる水源を使用できるうえ、塩素ガスは発生しないことが確認された。

ガリウムは比較的高価で豊富にあるわけではないが、何度も回収して再利用でき、その効果は失われないという。また、この複合材料は、使用済みのアルミホイルやアルミ缶など容易に入手できるアルミニウムで作ることができ、シクロヘキサンで覆って湿気から保護すれば長期保存が可能だ。

この技術はアメリカで特許出願中だが、水素製造を商業的に実用的なレベルまでスケールアップできるかどうかは現時点ではまだ不明だ。

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