世界最大の屋内アイスタンクで寒冷下の風力タービン実験を実施――氷塊との接触時に何が起こるのかを検証

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Photo: Anna Berg/Aalto University

フィンランドのアールト大学、オランダのデルフト工科大学、スペインに本拠地を置く風力発電機製造大手Siemens Gamesa Renewable Energyからなる国際チームは、高さ200メートルの風力タービンが沖合で厳しい凍結状態に直面するとどうなるのかを解明するべく、世界最大の屋内アイスタンクで実験を行っている。

アールト大学のArttu Polojärvi助教授は「沖合の風力タービンに氷がどのような力と圧力を加えるのかは、実際には分かっていない」と話す。大自然の中で大量の氷がどのように動くかを予測するのは容易ではないため、現在、洋上風力発電所のほとんどは、深い凍結に見舞われることがない海域に設置されている。しかし、タービンと氷が接触したときに何が起こるかを検証し解明できれば、洋上風力発電所をより寒い海域に設置することが可能になる。

そこで同チームは、40×40メートルという世界最大の屋内アイスタンク「Aalto Ice Tank」で、風力タービンとの相互作用をテストする環境を整えた。Aalto Ice Tankは、世界で唯一、巨大な氷塊をカスタマイズしテストすることができる場所で、完全に制御されたモデルスケールの屋内実験を行ったのは今回が初めてだという。

物理試験ではタービンが海上で受ける風などの条件を数値モデルでシミュレートし、30分の1スケールの模型杭を使用した。氷が割れる際の相互作用をリアルに検証するため、マイナス11℃という環境の下で検証したところ、氷から受ける荷重は約8メガニュートンとなり、最大級の航空機エンジン16基分の推力に相当するという結果が得られた。

氷構造物相互作用を研究しているデルフト工科大学のHayo Hendrikse助教授は、この結果について「灯台や水路標識、石油やガスのプラットフォームなど、他の構造物では見たことがないようなものだ。風力タービンは非常に高くて細長いので、大きく動く可能性がある。私たちが実験で見たのは、氷が引き起こす振動でも全く新しいタイプのもののようだ」と述べている。

同チームは、寒冷環境下で半世紀以上にわたり風力タービンが遭遇する可能性があるさまざまなシナリオを検証するために収集したデータに基づいて、現在、数値モデルの作成に取り組んでいる。このデータはオープンアクセスになっており、その詳細は『Data in Brief』に2022年1月28日付で掲載されている。

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Experimental data from ice basin tests with vertically sided cylindrical structures

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