砂漠で水を作り出し、発電効率を高める太陽電池発電システムを開発

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水分子は、地球上のどこにでも存在する物質だ。ところが国連によると、20億人以上の人々が安全な飲料水を入手できず、世界人口の30%に当たる23億人以上が年間を通して適切な食料を得られていないという。

サウジアラビアのアブドラ王立科学技術大学(KAUST)の研究チームは、ソーラーパネルの廃熱を利用して空気中の水蒸気から液体の水を得るシステムを開発した。このシステムは、集水/発電/作物生産を統合した自立型のシステムだ。研究成果は『Cell Reports Physical Science』誌に2022年3月1日付で公開されている。

太陽光発電は発電効率が悪いことが知られており、ソーラーパネルに当たる太陽光エネルギーのうち電気に変換されるのは20%以下だという。残りは発電過程で発生する廃熱となり、発電の効率をさらに悪くする。

研究チームは、この廃熱を利用して水を生成するシステムを開発した。システムには、研究チームが以前から研究しているハイドロゲルを利用している。このハイドロゲルは非常に吸湿性が高く、相互に連結したポリマー構造による多孔質構造で、内部に十分な量の水分子を貯めることができる。ゼオライトなど他の吸湿性物質との違いは、このハイドロゲルが水の放出にそれほど高い温度を必要としないことだ。ソーラーパネルから放出される廃熱は気温より50℃程度高いだけだが、このハイドロゲルから水分子を放出するのには十分だという。

開発したシステムは2つのモードを切り替えらえる。1つは冷却モードで、ハイドロゲルは常に外気にさらされた状態だ。夜間にハイドロゲルが空気中の水蒸気を吸収し、翌日の太陽が出ている間にソーラーパネルから排出される廃熱により水蒸気が放出する。熱エネルギーが利用されることでソーラーパネルは冷却され、発電効率が向上する。

もう1つは作物生産モードでは、ハイドロゲルは夜間のみ外気にさらされ、日中は密閉される。夜間に集められた水分子が、日中チャンバー内で蒸発し、凝縮することで液体の水が得られる。この水は、作物栽培施設の灌漑用水として利用できる。

3カ月に渡る実証実験で、冷却モードにおいてソーラーパネルの発電量が最大で9.9%増加した。また作物生産モードで得られた水は、クウシンサイなどの作物の成長に利用できた。水の生成や植物の成長には、ソーラーパネルで発電した電力は一切使用していない。

水と電力という2つの重要な資源を同時に作り出すことができるこのシステムは、水/エネルギー/食糧の結びつきに対して貢献できる可能性がある。しかし研究チームは、現段階で後発開発途上国がこのハイテクソリューションを利用するには、十分な購入資金が必要だと述べている。安価に設置できるように工夫しつつ、政府やNGOに支援を求めているが、まだ先は見えない状況だという。

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An integrated solar-driven system produces electricity with fresh water and crops in arid regions

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