- 2022-3-30
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Alfred Crosby, PNAS, マサチューセッツ大学アマースト校, メタマテリアル, 学術, 弾磁性, 形状記憶合金, 材料設計アルゴリズム, 相転移
気体から液体、液体から固体など物質状態が相転移する際、エネルギーが吸収または放出される。相転移は状態間の変化だけでなく、例えば形状記憶合金のように、ある固体から別の固体への変化もあり、有効なエネルギー変換材料として応用されている。
しかし、通常の相転移は、原子や分子レベルの熱力学と速度論的メカニズムに基づいており、自由に材料設計することは難しい。そこで米マサチューセッツ大学アマースト校の研究チームは、設計どおりの相転移により大量のエネルギーを吸収/放出できる材料を開発した。
本研究成果は2022年1月4日、米国科学アカデミー紀要「PNAS」誌に掲載された。
開発した「弾磁性」材料は、弾力のあるゴム状物質に小さな磁石を埋め込んだ、自然界には存在しないメタマテリアルで作られている。固体間の相転移を利用して、材料が吸収または放出できるエネルギーを大幅に増幅する。さらに、弾磁性材料の相転移は、予測可能で再現するため、大きな衝撃からエネルギーを吸収、または、爆発的な動きのために大量のエネルギーを放出という、望んだとおりに動作する材料が設計できる。
アマースト校のAlfred Crosby教授は「われわれは相転移の材料設計課題を克服する新しい材料を開発しただけでなく、予測どおりに応答する材料設計アルゴリズムも開発した」と述べている。
弾磁性材料は、ロボットに大きな駆動力を与える用途から、衝撃エネルギーを瞬時に散逸できるヘルメットなどの保護材料まで、非常に幅広い応用が見込まれる。本研究成果は、エネルギー貯蔵と放出における高性能材料を開発するプラットフォームを提供し、ロボットシステムの設計に貢献すると見込まれている。