高変換効率ペロブスカイト/有機タンデム型太陽電池の開発――シリコン太陽電池の効率に近づく性能

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有機太陽電池は、低コスト、軽量、フレキシブルで、印刷技術により容易に大面積化可能なことから、有望な光電変換技術として注目を集めている。ただ、光電変換の性能指標であるエネルギー変換効率(PCE:power conversion efficiency)は、実用化されているシリコン太陽電池にはまだ及ばない。PCEを向上させる有効な方法として、相補的な吸収スペクトルを持つ2つ以上のサブセルを接続したタンデム型太陽電池の開発が進められている。

シンガポール国立大学、香港大学、香港科技大学、南方科技大学からなる研究チームは、PCEが23.6%を示すペロブスカイトと有機物からなるタンデム型太陽電池を開発した。これまでのペロブスカイト/有機タンデム型太陽電池に関する研究では、約20%のPCEが報告されている。よって、研究成果のPCE23.6%は大きな変換効率の進歩だといえる。また、この値はシリコン太陽電池のPCE26.7%に近づくものである。

タンデム型太陽電池は、相互接続層(ICL:interconnection layer)を用いて電気的に接続される2層あるいはそれ以上のサブセルからなる。ICLはデバイスの性能と再現性を決める決定的な役割を果たす。効果的なICLは化学的に不活性で、導電性であり、光学的に透明である必要がある。

ペロブスカイト/有機タンデム型太陽電池は、次世代の光電変換素子として魅力的なデバイスではあるが、PCEは他のタイプのタンデム型太陽電池に対して遅れをとっていた。この技術的課題に取り組むために、研究チームは、タンデム型太陽電池用の、電気的、かつ、光学的ロスを低減した新しいICLを開発。この開発により、ペロブスカイト/有機タンデム型太陽電池の効率を大きく進歩させ、23.6%のPCEを達成した。

「私たちの研究は、ペロブスカイトベースのタンデム型太陽電池が、太陽光発電技術の商業的応用において大きな可能性があることを示している。今回の研究を基に、タンデム型太陽電池の性能をさらに向上させ、この技術をスケールアップしたいと考えている」と、シンガポール国立大学のHou助教授は述べた。

研究成果は、2022年1月20日付けで、『Nature Energy』誌に掲載されている。

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