相転移ナノワイヤを利用した共振周波数可変の電気機械システムを開発 米オックスフォード大

University of Oxford/YouTube

米オックスフォード大学とペンシルベニア大学の研究チームが、ゲルマニウム(Ge)とテルル(Te)からなる300nm程度のナノワイヤを用いた周波数可変の無電源周波数共振器を開発した。ナノ材料を用いた電気機械システム(Nano Electro Mechanical Systems:NEMS)は、微小電気機械システム(MEMS)よりさらに微細化可能な次世代の電気機械システムとして注目されている。

本研究成果は2022年3月18日、「Nature Communications」誌に掲載された。

従来の研究からGeTeナノワイヤが、結晶/非晶質状態間の相転移を永久的かつ可逆的に切り替えられることは分かっていたが、機械的特性変化が活用されることはなかった。

本研究では、GeTeナノワイヤのひずみによる大きい変化率の圧電抵抗を利用し、ナノワイヤNEMS共振器を開発することに成功した。GeTeナノワイヤに異なる時間幅のナノ秒電気パルスを印加することで、非晶質化により軟化(50ナノ秒)または結晶化により硬化(250ナノ秒)させ、無電源で共振周波数を30%以上調整できることを示した。

つまり、結晶/非晶質状態を切り替えられるGeTeナノワイヤをNEMSに用いることで、機械的剛性を能動的に変化できることを利用し、NEMS共振器の無電源周波数調整を可能にした。

巨大な通信ネットワークのシームレスな接続のためには、できるだけ多くの周波数を確実に生成し、迅速に切り替える能力が重要とされている。研究チームは、本技術が商用の周波数シンセサイザーより10~100倍程度速く動作すると見積もっている。ナノワイヤNEMSは、将来の大規模IoTと5Gネットワークに向けた、調整可能ナノ電気機械周波数シンセサイザおよびフィルターとして期待される。

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