固体と液体を混ぜて使う、新しいインクジェット3Dプリンティング手法――ロボットをゼロから造形する未来へ

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Credit: Hayes et al. 2022, Additive Manufacturing

固体材料と液体材料を混合して同時に造形する新しい3Dプリンティング手法が開発された。この成果は、手作業で部品を組み立てることなく、ボタンを押すだけでロボットや伸縮性のある電子医療機器の全体を3Dプリントできる未来をもたらす可能性があるという。この研究は米コロラド大学ボルダー校によるもので、2022年4月14日付で『Additive Manufacturing』に掲載された。

インクジェット方式3Dプリンターは、プリントヘッドから小さな液体のしずくを落として重ねていく。液滴は滴下後すぐに明るい紫外線にさらされて、1秒以内に固体に変化する。

しかし、液体を固体化させず液体のままにしておきたい場合もよくある。例えば、固体材料の中に小さなチャネル(経路)を作るために液体やワックスを使い、後でそれらを固体材料から取り出す人もいる。空洞を内包する部品を3Dプリントする方法もあるが、空洞をきれいにするには、通常かなりの時間と労力が必要であり、また、チャネルは比較的単純なものでなければならない。

研究チームは、固体材料と液体材料を同時に造形できるようにする条件をより理解し、このような制限を回避する方法を見つけることにした。その結果、今回の研究で、市販の3Dプリンターを使って、固形成分と液体成分を混合した材料を作製するための方策を示した。

まず、一連のコンピューターシミュレーションを設計し、さまざまな種類の材料を隣り合わせにプリントする際の物理特性を調べた。大きな問題の1つに、液体材料の液滴の上に固体材料の液滴を直接プリントする場合でも固体材料の液滴が液体材料に混ざらないようにするにはどうしたらよいかという問題がある。

研究の結果、液体の表面張力を利用して固体材料を支持することができると分かった。ただし、これは油が水の上に浮くのと同じ原理なので、固体材料よりも密度の高い液体材料を選ぶことが有用となる。

次に、研究チームは、研究室で本物の3Dプリンターを使って実験を行った。3Dプリンターには、固体として硬化性ポリマーを、液体として標準的な洗浄液を装てんした。その結果、液体で圧縮コイルばねのようならせん状構造と、人間の肺の分岐経路に似た複雑な経路網を造形することができた。これらの構造は従来の方法では作製することがほぼ不可能だっただろうと、研究チームの一員であるTravis Hainsworth氏は語っている。

固体と液体を混合することで、3Dプリンターは、より柔軟であり、潜在的にさらに有用性の高いデバイスを大量生産できる可能性がある。例えば、固体の基板内部に液体でできたワイヤーを組み込んだウェアラブル電子機器や、本物の人間の臓器のようなぐにゃぐにゃした感触を再現したモデルを作ることなどが考えられる。

研究論文の責任著者であるRobert MacCurdy助教授は、この成果によって、液体と固体を用いるマルチマテリアルインクジェット方式3Dプリンティングが、世界中の研究者や愛好家にとってもっと利用しやすくなることを期待していると話している。

関連リンク

How to print a robot from scratch: New 3D-printing approach melds solids, liquids
Liquid–solid co-printing of multi-material 3D fluidic devices via material jetting

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