データサイエンスで材料開発――AI材料選定フレームワーク「AIMS」

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テキサスA&M大学の研究チームにより、人工知能材料選定フレームワークを用いて、新しい形状記憶合金が発見された。/Image: Texas A&M Engineering

テキサスA&M大学の研究チームが、機械学習に基づく人工知能材料選定フレームワーク(AIMS)を用いて、変態温度ヒステリシスが最も小さい新しい形状記憶合金を見出すことに成功した。これまでのNi-Ti系形状記憶合金の中で、アクチュエーターとして最も高いエネルギー効率を発揮することができる。データベースを基にしたAIMSは、膨大な時間とコストのかかる試行錯誤をなくし、最適な化学成分系とプロセス条件を特定でき、広汎な応用分野に最適な形状記憶合金開発に関する概念実証技術として期待される。研究成果が、2022年4月15日に『Acta Materialia』誌228号に公開されている。

Ni-Ti系を代表とする形状記憶合金は、熱弾性型マルテンサイト変態を利用し、低温で変形した後、高温に加熱すると初期形状を回復する形状記憶効果を有する。特に油圧/空気圧シリンダーに代わるコンパクトで軽量小型アクチュエーターとして、医学分野における内視鏡などで用いられている。

ただ、応力負荷条件における相変態温度に関し、加熱冷却に伴って数10℃程度のヒステリシスが存在し、アクチュエーターとして使用する場合、熱として散逸する無駄なエネルギーを発生させ、エネルギー効率を低下させている。また、アクチュエーターの作動温度の誤差や不安定性を生じ、繰り返しサイクルの安定性を損なう可能性があるため、充分な変位を確保する大きな変態歪を維持しつつヒステリシスを低減することが、形状記憶合金の課題の1つになっている。

研究チームは、これまでの研究による膨大な実験データを機械学習によって解析し、さまざまな材料特性の間に隠されている相関関係を見出すことによって、目標特性に適した新しい合金成分系を設計できると考え、AIMSコンピューターフレームワークを作成した。

そして形状記憶合金の代表であるNi-Ti系合金について、応力負荷条件における変態温度ヒステリシスが小さい合金成分系とプロセス条件をAIMSにより探索した結果、これまでで最も狭いヒステリシスを有する合金系Ni32Ti47Cu21を見出した。極小のヒステリシスによりエネルギー損失が最小になり、アクチュエーターとして高い効率を発揮する。また、繰り返し作動においても優れた安定性が実証され、廃熱を有効活用する環境発電にも活用できると期待される。

「データサイエンスと機械学習を活用して、膨大な試行錯誤を行うことなく材料開発のスピードを加速するとともに、これまで知られていない新しい物理原理やメカニズムを発見できる可能性もある」と、研究チームは説明する。

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New shape memory alloy discovered through artificial intelligence framework

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