室温で実用性を発揮するLiイオン電池用高分子固体電解質を合成 東北大

東北大学は2022年8月18日、材料科学高等研究所などの研究グループが、ミクロンサイズの穴がハニカム(蜂の巣)状に空いた厚さ数ミクロンの高分子多孔膜と、光架橋性ポリエチレングリコール(PEG)系高分子電解質を複合化することで、Liイオン伝導度が液体と同等かつ実用的に十分な高分子固体電解質の合成に成功したと発表した。既に関連特許は出願済みで、今後電池や電池部材メーカーなどと実用化に向けた取り組みを進める。

研究グループによると、この新たな高分子固体電解質は、10-4 S/cmクラスで、広い電位窓(4.7 V)と高いLiイオン輸率(0.39)を実現。電解質として高い性能を示すだけでなく、多孔膜を内包していることから、発火の原因となるLiデンドライト(樹状結晶)形成の抑止などにも効果が期待できる。

リチウムイオン二次電池(LIB)はスマートフォンや電気自動車などに幅広く使われ、ITC社会を支える基盤となっている。LIBはLiイオンが正極と負極の間で行き来することで充放電を繰り返すが、その通路となるLiイオン電解質は、これまで耐電圧性やイオン伝導度の理由から、液体のエチレンカーボネート(EC)などの有機電解質やそれらのゲルが使われてきた。しかし、液体やゲルの有機電解質は可燃性であり、より安全な高分子の固体電解質の実用化が求められている。

研究成果は2022年8月13日、米科学誌「iScience」のオンライン速報版に掲載された。

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