エンジン開発に携わる仕事には、どのような職種がある?キャリアややりがい、平均年収に関して解説

これまでエンジンは、自動車をはじめとする世界中のモビリティや機械を動かしてきました。しかし昨今、カーボンニュートラルに向けた環境規制の厳格化により、電動化の波が押し寄せてきています。そこで今求められているのが、カーボンニュートラルに対応できる次世代エンジンの開発エンジニアです。

この記事では、エンジン開発に携わる仕事について、仕事内容や魅力、やりがい、苦労、年収相場、会社選びのポイントなどを解説します。ぜひご覧ください。

エンジン開発に携わる仕事とは

エンジン開発の仕事は、自動車や二輪車だけでなく、航空機や船舶、建設機械、産業機械、農業機械など、さまざまな分野で求められています。

その仕事内容は、以下の2点に大きく分けられます。

• エンジン設計
• エンジン単体テスト

それぞれ見ていきましょう。

エンジン設計

エンジン設計の仕事は「機能設計」と「生産設計」の2段階に分かれています。まず、機能設計では「どのようなエンジンを開発するのか?」という仕様を決めます。そして、機能設計で決めたことを具現化するのが生産設計です。

エンジン設計は、市場や顧客のニーズ、納期、コスト、材料、加工、組み立て、品質基準など、さまざまな要素を考慮しなければなりません。そのため、設計には製図スキルだけでなく、営業やマーケティング、製造、品質などについて、他部署と協議できるコミュニケーションスキルも求められます。

エンジン単体テスト

エンジンの設計が終わったら試作品を作成し、エンジン単体テストを実施します。初回で合格することは難しく、エンジンの完成までに設計とテストを何回も繰り返すのが一般的です。エンジン単体テストは、大きく「性能テスト」「機能テスト」「耐久テスト」の3つに分けられます。

性能テストでは、最高出力や最大トルクなどが目標性能に達するよう、エンジンの性能曲線を描きながら測定を重ねて各部諸元を検討します。機能テストでは、オイルによる潤滑性能や、ラジエーター、ウォーターポンプの冷却性能、点火時期など、エンジンを回すために必要な機能を見ます。耐久テストは、負荷と時間をかけてエンジンの耐久性を確認するテストです。

エンジン開発エンジニアならではの特徴

魅力、やりがい

エンジンは「自動車の心臓」と言われるほどの重要なパーツで、常に進化しながら世界のモビリティを動かしてきました。その歴史をつないで世界を動かし続けるのが、エンジン開発の魅力とやりがいです。

エンジンは、レシプロエンジンやロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、ジェットエンジン、ロケットエンジンなど、さまざまな種類があります。どのエンジンも複雑な構造をしているため、開発は多くのエンジニアが関わる大きなプロジェクトになります。

チーム一丸となって数々の課題を乗り越えた分、エンジンを完成させた際は非常に大きな達成感が得られます。さらに開発に携わったエンジンで動く自動車や二輪車などを街中で見かけたならば、開発の苦労が報われる喜びも感じられることでしょう。

またエンジン開発は、市場や顧客のニーズに応じて常に進化が求められます。特に現在は、持続可能な社会への貢献が求められているため、環境に優しい次世代エンジンを作り上げるという、チャレンジができます。

苦労

エンジンは、ピストンやシリンダーヘッド、シリンダーブロックなどの本体パーツに、吸排気系統や燃料系統、冷却系統、ECU(エンジンコントロールユニット)、各種センサー、アクチュエーターなどのシステムやパーツが複雑に絡み合っています。

そのため、エンジン開発には機械工学や材料力学、熱力学、流体工学、電気工学などの高度な専門知識と技術の研さんが求められます。さらに設計とテストを何回も繰り返す長期間の試行錯誤には忍耐力も必要です。

また、2050年のカーボンニュートラルに向けて、厳格化する環境規制に対応しつつエンジンを開発しなければなりません。さらなる燃費向上や排出ガス低減などが要求されます。

気になる年収相場

エンジニアを専門に転職支援を行うメイテックネクストの東京支社長 梅津 太一氏によると、エンジン開発における求人は、OEM、Tier1サプライヤ、その他自動車以外のモビリティ業界においても積極的に採用を行っており、エンジン開発者の平均年収は下記の通りです。

・20代:550万(500万~700万)
・30代:700万(600万~1000万)
・40代以上:800万(800万~1200万)

昨今のEVシフトに伴い、エンジン開発の鈍化を予想されている方も多いですが、実態としてエンジンは今後もますます開発が進んでいきます。EV普及という点において、現状中国・欧州を中心にEVのシェアは増加していますが、一方でEVシェアの最大値は30%程度で頭打ちになると予想されています。その理由は、EVにおける「航続距離」、「充電時間」、「充電インフラ」、「電池寿命」、「電池の安全性」、「電池劣化における車両価値の低下」、「発電量増⇔エコの実態」というさまざまな問題が背景にあるからです。直近では各国でエンジンを搭載した車両開発を進めており、EV大国の中国でさえもPHEVの開発を進めている状況です。今後は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、エンジンだけで走る自動車は無くなる一方で、エンジンも共存した電動車や燃料を変換する、排出された二酸化炭素を回収するなど、さまざまな取り組み・開発が行われていきます。電動車においても、エンジンをより小型化(ダウンサイジング)し、ターボチャージャーを搭載させるなど、エンジンの排熱効率を高めた自動車開発も進んでいます。

エンジン開発に関する会社の求人選びのポイント

エンジン開発には、機械工学や材料力学、熱力学、流体工学、電気工学など、さまざまな分野の専門知識やスキル、経験が求められます。そのため、これまでのキャリアを少しでも生かせる会社を選ぶことがポイントです。即戦力として活躍できるポテンシャルがあると判断されれば、年収も上げやすくなります。

またエンジンは、自動車や二輪車、航空機や船舶、建設機械、産業機械、農業機械など、その用途は多岐にわたります。そのため、たとえエンジン開発の経験がなくても、これまでのキャリアに関連する業界を選べば、採用される可能性が広がります。

これからのエンジン開発に求められるのは、カーボンニュートラルへの対応です。持続可能な社会に貢献できないエンジンは、将来的に電動化の波に押されて淘汰されていくことが予想されます。そのため、カーボンニュートラルに向けた次世代エンジンの開発計画をしっかり打ち出している会社を選ぶことも重要です。

エンジン開発に関する求人への転職なら「メイテックネクスト」

メイテックネクスト 東京支社長 梅津太一氏のコメント

脱エンジンという世の中の風潮に不安を感じている方もいらっしゃるかと思いますが、エンジン開発経験者のニーズは高いと言えます。その理由は、「圧倒的な技術力の高さ」です。

エンジンは部品数が非常に多く、構造も複雑であるがゆえ、非常に開発難易度の高い製品です。加えて、エンジン開発を要素技術に分解すると、「機構」、「振動」、「トライボロジー」、「燃焼」、「流体」、「熱」、「材料」などが挙げられ、まさに機械の要素技術が全て詰まった製品と言えるでしょう。したがって、ストレートキャリア(エンジンからエンジン)というキャリアは当然のことながら、保有する要素技術を活かしてエンジニアとしてのキャリアチェンジすることも、十分に可能です。直近のキャリアチェンジの例として、エンジンの燃焼技術や流体技術を活かし、発電燃料変換における技術・製品開発の事例があります。カーボンニュートラル実現に向けて、新規事業への転換や研究開発費増を行っている企業が増えているため、このような事例は増えてくると予想しています。業界チェンジ、製品チェンジ、職種チェンジなど、さまざまなバリエーションでキャリアプランの提案が可能です。まずは情報収集からでも、是非メイテックネクストにお声がけください。

メイテックネクスト コーポレートサイトはこちら

まとめ

エンジン開発に携わる仕事について、仕事内容や魅力、やりがい、苦労、年収相場、会社選びのポイントなどを解説しました。

エンジンは、多くのエンジニアの専門知識やスキル、経験を総動員して開発されます。市場や顧客のニーズ、またカーボンニュートラルに応えるためには長期的な試行錯誤が求められますが、その分、魅力ややりがいも大きい仕事です。

エンジン開発の仕事に興味のある方は、ぜひメイテックグループにお問い合わせください。

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記事監修
梅津 太一(メイテックネクスト 東京支社長)
中小から大手メーカーに対する採用コンサルティングを4年、その後はキャリアアドバイザーとして11年、延べ4000名以上のエンジニアのキャリアカウンセリング経験を持ちます。得意としていることは「求職者の強みの抽出」と「要素技術軸、工程軸(方法論)でのマッチング」です。昨今のマーケットは先が読みくいが故、自身が今どのような経験を積むべきか、また、どの分野(強み・弱み)に負荷をかけ成長を促すかを求職者と一緒に考えていきたいと思います。


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