光1波あたり1.2Tbpsの大容量を伝送できる光伝送技術を開発――水冷技術を適用 富士通

富士通は2022年9月14日、世界に先駆けて、光1波あたり1.2Tbpsの大容量を伝送できるデジタルコヒーレント光伝送技術を開発し、実際の光伝送装置として通信できることを確認したと発表した。2023年度上期中にこの技術を適用した光伝送装置を製品化し、グローバルでの提供開始を予定している。

開発した技術は、同社の3つの独自技術である、テラビット光伝送システム技術、世界初となる光伝送装置への水冷技術、機械学習を用いた光ネットワークモニタ技術を適用し、世界最高の大容量伝送と低消費電力を両立。同社の従来製品と比べ、システム全体のCO2排出量を70%削減する。

テラビット光伝送システム技術では、世界初となる140Gbaudの高速信号を伝送できるデジタル信号処理LSI(DSP)と、狭線幅波長可変レーザを適用。さらに、送受信デバイスや光伝送路に発生する光波長の歪を高精度に補償する同社の独自技術を組み合わせており、1波あたり1.2Tbpsと世界最高となる大容量伝送を達成した。

一般的に光通信の通信できる距離は、伝送容量の増加で短くなる傾向があるが、今回の技術を適用すると、従来の技術と比べ、到達距離性能が同じ伝送容量で4倍以上となる。

従来の光伝送装置は、空冷技術をシステムの冷却に用いていたが、開発した技術は、水冷技術を光伝送装置に世界で初めて適用している。高信頼性やメンテナンス性を保ちながら、冷却効率を向上。伝送容量(Gbps)あたりの消費電力を低消費電力化しており、世界最小の120mWとなっている。

光伝送装置全体では、空冷方式を採用した従来の装置と比べ3分の1の小型化を図っている。同時に軽量化し、輸送時のCO2排出量、使用終了後の廃棄量削減によるCO2排出量を削減する。

常に安定して必要とされる通信容量を確保できるように、従来の光ネットワークでは、ネットワーク設計時に必要となる条件を厳しく見積もっていたため、効率良くネットワーク本来の性能を引き出せず、消費電力の増加や提供できる伝送容量の減少を招いていた。

今回は、機械学習を用いたネットワークモニタ技術を取り入れたことで、自動で高精度に、光ファイバーや光伝送システムなどの光ネットワーク構成要素の状況をとらえて分析できる。

これらの結果を用いて、ネットワーク構築時のDSPの変調方式や構成要素の設定に生かすことで、消費電力を抑えつつ、光伝送装置の持つ伝送性能を最大限に引き出したネットワークを構築できる。

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