わずか27個の原子からなる最小の半導体の構造を解明 韓国・基礎科学研究院

半導体は、現代の電子機器やトランジスタのベース材料であり、20世紀後半の技術進歩に大きな役割を果たした。そして、現在、半導体のナノ結晶技術の分野が発展途上にある。例えば、半導体材料からなる量子ドットやワイヤは、ディスプレイや光触媒などの電子デバイスとして大きな関心を集めている。しかし、コロイドナノ結晶において、まだ基礎的な理解が不十分な点が数多く残されている。その中でも重要なのが、ナノ結晶の形成/成長メカニズムの分子レベルでの解明である。半導体ナノ結晶は、少数の原子でできたナノクラスターから核成長する。ナノクラスターの単離と分子構造の決定は、過去数十年にわたって大きな関心の対象となってきた。

韓国の基礎科学研究院ナノ粒子研究センターの研究チームが、中国の厦門大学とカナダのトロント大学と共同で、27原子からなる半導体セレン化カドミウムクラスター(Cd14Se13)のコロイド合成と原子レベルでの構造について報告した。これは、現時点で合成された最小のナノクラスターだ。

Cd14Se13の合成は、望まない凝集により特性評価ができなかったCd13Se13での数々の失敗を経て成し遂げられた。研究チームは、3級ジアミンとハロカーボン溶媒が、ほぼ単一サイズの化学量論的クラスターを達成する上で重要な役割を果たすことを発見した。

金属とカルコゲナイドの組成比が1:1でない他の多くのナノクラスターは超四面体構造をとる傾向にあるが、Cd14Se13の構成原子はコア・ケージ構造を形成することが判明した。具体的には、中央のSe原子がCd14Se12のケージに包まれ、ダイヤモンドの単位構造のようにCdSeが配列したクラスターで、大きさは約0.9 nmであった。このようなユニークな原子配列は、特異な構造を持つナノ結晶を成長させる可能性があるという。

同研究成果は、単一サイズの半導体クラスターの合成にとどまらず、異なる化学構造の3級ジアミンを他のクラスターに拡張できることを示唆する。他のクラスターを合成し、原子レベルの構造を決定することは、最終的には半導体ナノ結晶の成長機構の解明につながるという。

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The structure of the smallest semiconductor was elucidated

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