- 2022-9-22
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- NDT:Neutral Displacement Theory(中立変位理論), Sea wave energy, Waveline Magnet, YouTube, アルキメデスの原理, モジュール式, 波力発電
10年以上に渡り波力発電の開発を続ける英Sea wave energyが、フランス・ナントの施設で、波力発電システム「Waveline Magnet」のプロトタイプのテストを完了した。Waveline Magnetは波の動きにシームレスに追随し、波と一体化する浮体式のシステムで、ひとつひとつの浮体ユニットが背骨のようなパワーシステムに連なるユニークな外観が、YouTubeで公開されている。
Waveline Magnetは、波によって生じる浮力を利用して発電する。浮力は、変位した流体の重みと等しいという「アルキメデスの原理」で説明されるが、変位した物体に加わる上向きの力だ。Waveline Magnetは波との相合作用により、下向きの力も受ける。同社はこれを組み込むことでアルキメデスの原理を「一周」させ、それを「NDT:Neutral Displacement Theory(中立変位理論)」と呼び、波の真の力を利用することに成功したとしている。
Waveline MagnetはNDTと組み合わせることで、波の高さや気象条件に関わらずさまざまな方向から効率よく波の動きを取り込み、電力に変換することができる。適切な環境で使用すれば1機で100MW以上の発電が可能。また、リサイクル可能なプラスチックなどの部品からなるモジュール式の設計であるため、生産コストが低く輸送も簡単で、波の動きに逆らわないため壊れにくく、低メンテナンスであることもメリットだ。
同社はWaveline Magnetの電力とコスト競争力について、開発段階でも化石燃料による発電に匹敵するレベルだとしている。商用化に向けた次のステップとして、先行生産モデルを使った最終テストを行う予定だ。