ボイラー用アンモニア専焼バーナーの試験に成功―― CO2を排出しない火力発電の実現に寄与 三菱重工業

三菱重工業は2023年11月28日、同社の総合研究所長崎地区にて、ボイラー用アンモニア専焼バーナーの試験に成功したと発表した。

アンモニアは、水素エネルギーを効率的に低コストで輸送・貯蔵できるエネルギーキャリアとなるほか、火力発電の燃料として直接利用することも可能。燃焼時にCO2を排出しないため、温室効果ガスの排出削減に寄与するものとして期待されている。

同社は今回、1時間当たりの燃料消費が0.5トンの燃焼試験炉を用いて、アンモニア専焼バーナーによる専焼試験および石炭との高混焼試験を実施。いずれにおいても安定燃焼を確認した。

アンモニアと石炭の混焼火炎状況

また、石炭専焼時と比較して窒素酸化物(NOx)の排出量が減少すること、アンモニアを完全燃焼できることも確認している。

今回、アンモニアの安定燃焼とNOx抑制の双方を実現するバーナーの基本構造を見出したことは、火力発電ボイラーでの実用化に向けた大きな一歩となる。

同社は今後、1時間当たりの燃料消費が4トンの、より大規模な燃焼試験炉において、実機サイズのバーナーを用いた燃焼試験を進める。また、これらの成果をもとに、国内外の火力発電所において開発したバーナーの適用を図る。

同社は2021年度より、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業による、燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト内の「石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術の開発・実証」に取り組んでいる。今回の燃焼試験は、同事業の一環として実施された。

同社は2024年度までに、旋回燃焼方式と対向燃焼方式のそれぞれのバーナー型式において、アンモニアの専焼が可能なバーナーの開発を進める。

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三菱重工 | ボイラー用アンモニア専焼バーナーの試験に成功 既存火力発電所のCO2排出削減技術でエナジートランジションを推進

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