- 2022-11-11
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スイスの3Brain AGは研究開発機関CSEMと共同で、細胞間の電気信号ネットワークを解析する3Dマイクロチップ「Accura-3D」を開発した。
心臓や脳、神経系など電気信号によって活性化する細胞組織は、イオンチャネルの開閉によって生じる膜電位の急速な変化である電気信号を使って相互通信する細胞のネットワークで構築されている。細胞電子インターフェースは、細胞内外に生じるイオンの流れに対応する活動電位の変化を生体信号としてリアルタイムでコンピューターに接続するためのデバイスだ。
だがパッチクランプ法など従来の細胞電子インターフェースは、構造的に生体との接続が2次元に限定されるため、幹細胞から作成される脳に似た構造の三次元組織である脳オルガノイドや3D培養された細胞モデルの解析には限界があるという課題があった。
3Brain AGはCSEMと共同で、CMOS技術をベースとした3次元の細胞電子インターフェースAccura-3Dを開発した。Accura-3Dは、金電極や生体適合性を確保したマイクロニードル、専用開発のマイクロ流体チャネルなどにより、脳オルガノイドや3D細胞組織から得られる膨大なデータを空間的に配置されたピクセルデータとして取得し、リアルタイムに処理することができる。3Brain AGによると、毎秒2万フレームの生体信号を処理できるという。
同社によると、Accura-3Dによって脳などの複雑な構造をより深く、詳細に調査することが可能となり、特に脳オルガノイドではアルツハイマーやてんかんなどの研究が進むことが期待できるとしている。