パーキンソン病を10秒で診断――音声データから疾患を診断するスマホアプリを開発

Credit: RMIT University

豪ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の研究チームは、録音した声からパーキンソン病や新型コロナウイルス感染症を診断するスマートフォンアプリを開発した。病気の早期発見、診断、治療につながる可能性がある。研究結果は、2022年9月12日付けの『IEEE Access』に掲載されている。

パーキンソン病とは、硬直、震え、動作緩慢など、さまざまな症状が組み合わさった神経変性疾患だ。バイオマーカーはなく、問診や診察から診断されるが、初期症状の1つとして、発声障害が挙げられる。しかし、基礎疾患の有無に関わらず、声はひとりひとり異なるため、診断が難しい場合があり、診断がつくまでに時間もかかっている。

研究チームを率いたDinesh Kumar教授は、従来よりも迅速かつ正確に診断する方法を開発した。最初に、パーキンソン病の人とそうでない人の発声サンプルを36人分ずつ用意した。これら音声データから特徴を抽出し、統計的に分析し、機械学習を利用して分類分けした。

音声データは「A」「O」「M」の3種類。「A」は声帯の振動が主で、「O」は唇が丸くなり舌の位置が最も後ろになる発音、「M」は鼻腔を通る空気によって声帯が振動する発音だ。3種類全てを利用すると、パーキンソン病の人とそうでない人を100%区別できると報告している。

また、従来の専門医による診断は長く、90分かかる場合もあるが、研究チームの開発したアプリは、わずか10秒で入力された音源とサンプルデータを比較し、パーキンソン病の疑いがあるかどうか、専門医に診てもらうべきかどうかを判断できるという。市販のスマートフォンをデフォルト設定で使用可能で、他のAIベースの手法と比べても、速く正確だという。

今回の手法を利用して、新型コロナウイルス感染症による肺疾患を早期に見つけ、治療や入院が必要かどうかを判断するための検査方法も開発した。また、非接触で使いやすく、低コストのため、定期的な検査や、オンライン診療、大規模なスクリーニングにも適している。「手遅れになるまで医者にかかろうとしない人々にも手を差し伸べ、地域社会全体のスクリーニングプログラムを促進する可能性もある」とKumar教授は語る。

今後は、パーキンソン病や肺疾患の進行を検知するため、より大規模な調査をしたいという。神経疾患や睡眠障害など、ほかの疾病に対する有効性の検証にも関心を寄せている。現在は、来年予定している臨床試験に向けて、商業および臨床パートナーを探しているところだ。

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