肺疾患を約98%以上の精度で検出する新しいAIソフトウェア

肺炎や結核、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などの肺の病気を高精度で診断可能な新しい人工知能(AI)ソフトウェアが開発された。この研究は西スコットランド大学を中心とした研究グループによるもので、2022年9月16日付で『Computer Methods and Programs in Biomedicine』に掲載された。

胸部X線検査は、肺炎/結核/COVID-19など、さまざまな疾患の診断に役立つ比較的安価で利用しやすい診断ツールだ。しかし、胸部X線画像を見て解釈するには専門の放射線科医が必要となる。そのため導入が困難な地域もあった。一方で、近年の機械学習の進歩により、胸部X線スキャンの自動診断が可能になっている。

今回の研究では、最先端の画像分類機械学習モデル「Vision Transformer(ViT)」を基礎とし、さまざまな病態に関連する胸部X線画像についてより高い診断性能を持ちうる新しいモデルの「Input Enhanced Vision Transformer(IEViT)」を開発し、検証した。

研究では、肺炎/結核/COVID-19という多様な病態を含む4つの胸部X線画像データセットを使用し、IEViTモデルにその疾患に罹患しているか否かを分類させた。その結果、IEViTモデルはすべてのデータセットとその変種について、ViTより高精度で判別することができた。F1スコアは96.39〜100%、最大感度(再現率)は93.50〜100%、最大精度は97.96〜100%となっている。

このIEViTモデルを用いることで、胸部X線画像を用いた診断を支援する、比較的安価で利用しやすい有効な方法を提供できる可能性がある。

関連リンク

IEViT: An enhanced vision transformer architecture for chest X-ray image classification

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