リチウムイオン電池の熱暴走を防止する技術を開発

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小型で大量のエネルギーを蓄えることができるリチウムイオン電池は、スマートウォッチから電気自動車まで、多岐にわたる電子機器の電源として利用されている。しかし、リチウムイオン電池の多くは可燃性の有機電解液を使っているため、何らかの理由で内部短絡が発生し、過熱によって発火したり爆発する可能性がある。中国の研究チームは、リチウムイオン電池が高温になった際、素早くブレーキをかけ電池を停止させる技術を開発した。研究の詳細は、『Nano Letters』誌に2022年11月2日付で公開されている。

リチウムイオン電池は、正極と負極、そしてそれらを隔てるセパレーターが有機電解質と共に封入されている構造だが、物理的な衝撃や金属リチウムの析出などによって正極と負極が接触して短絡すると、過熱により電解質が蒸発、電極を隔てているセパレーターも溶融して短絡部位が急激に拡大し、電池が異常発熱する「熱暴走」を引き起こすことがある。電気自動車など、複数のリチウムイオン電池を連結して使用する場合、1つの電池で起こった熱暴走が他の電池の過熱へと連鎖することで、大火災につながる可能性もある。熱暴走を防ぐために、温度センサー、難燃性電解質の使用など、フェイルセーフ機能を搭載した電池も登場しているが、これらの対策では熱暴走を防げなかったり、電池の性能を低下させたりすることがある。

そこで研究チームは、熱応答性形状記憶ポリマーを導電性銅スプレーで覆うことで、常温では電子を伝達するが、過度に加熱されると絶縁体に変化する材料を開発した。197F(約91.7℃)まで温度を上昇させると、ポリマーにプログラムされた微細な3Dパターンが現れ、銅層を破壊して電子の流れを停止する。これにより電池は完全に使用できなくなるが、火災の可能性はなくなる。従来のリチウムイオン電池は、この温度では化学反応を続け、再び高温になると熱暴走を起こす危険性があった。

この新素材を用いたリチウムイオン電池は、常温で使用すると高い導電性と低い低効率を維持し、従来と同様のサイクル寿命を示した。このことにより、研究チームは、従来の電池性能を維持したままリチウムイオン電池の安全性をより高められる可能性があるとしている。

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Putting the brakes on lithium-ion batteries to prevent fires

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