部下の仕事ぶりが見えない――上司の不安がハイブリッドワークを阻害するというマイクロソフトの調査結果

Illustration by Valerio Pellegrini

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響を受けて、注目されたハイブリッドワーク。柔軟な労働環境を提供できるため、導入と活用を検討する企業も多い。その一方で、労使間にはハイブリッドワークがもたらす生産性に対して、考え方に乖離があるようだ。

自社でもハイブリッドワークを実践するMicrosoftは、2022年7~8月初めにかけて、自動車や建設、金融などさまざまな業界で働く11カ国2万人を対象に、ハイブリッドワークに関する調査を実施。結果を『2022 Work Trend Index』として報告している。

同社が今春に実施した別の調査では、コミュニケーションツール「Microsoft Teams」ユーザーの1週間あたりの会議数が、パンデミック前と比べて153%増加したという。また、会議のダブルブッキングはこの1年で46%増加し、少なくとも42%の人が会議中にEメールを送信したり、同僚へ連絡したりといったマルチタスクを行っていた。

こうしたデータが示すように、従業員の87%は生産的に働いていると考えている。しかし、リーダー職の85%は、従業員が生産的であると確信を持てなくなったと感じているという。在宅ワークで本来の通勤時間が勤務時間に変わり、会議やその他仕事が増えたにも関わらず、働かない従業員のために生産性が失われるのでは、とリーダーたちが危惧する。この現象を、Microsoftはハイブリッドワークへの移行がもたらした「生産性パラノイア」と呼んでいる。

リモートワークをする人が増えると、リーダーやマネージャーはこれまでのように、職場や会議室で誰が熱心に働いているか「見る」ことができないため、視覚的に生産性を把握できなくなる。調査でも、ハイブリッドで働くマネージャーは、対面で働くマネージャーと比べて、部下の仕事ぶりに対する評価に苦労しているという傾向が見られた。

生産性パラノイアはハイブリッドワークを阻害する可能性がある。このパラノイアを終わらせるために、リーダーは、部下の仕事ぶりを気にするのではなく、部下が仕事に集中できるように支援することが大切だとしている。

Microsoftでは、人々をオフィスに戻すためのカギも提示している。それはシンプルだが、同僚の存在だ。従業員の84%は同僚との交流、85%はチームとの絆が仕事へのモチベーションを上げると回答。チームメンバーまたは職場の友人が職場にいると分かれば、もっと頻繁に出社すると回答した従業員も7割以上いた。

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