自動運転とは何か?わかりやすく基礎知識やメリットについて解説

  • Tweet
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

自動運転とは?

自動運転とは、分かりやすく表現すると「人間が判断や操作をする代わりに、機械が運転を行うもの」と言えるでしょう。以前から航空機や船舶などに導入されていましたが、近年は自動車への応用が期待されるようになり、一気に身近に感じられる技術になりました。自動車に自動運転技術が搭載されることで、さまざまなメリットが生じることから、自動車メーカーなどが本格的な実用化に向けて開発を進めています。

自動運転の歴史とは?

自動車が一般的に使われるようになった1900年代から、自動運転という発想自体は存在していたとされていますが、実用化には至りませんでした。1950年代には、ゼネラルモーターズ(GM)が誘導ケーブルを使った自動運転技術を開発しましたが、コスト面などに課題があったためか、普及することはありませんでした。1960年代に入ると、月面探査向けの遠隔制御技術や人工知能(AI)を持ったロボットなどの技術を応用して、自動運転を実現するための研究開発が行われるようになりました。1970年代には、日本でも車両にカメラを設置したマシンビジョンによる自動運転システムが開発されて、自動運転の研究開発が注目されるようになりました。その後、1980年前後から日本国内や欧州(EU)の自動車メーカーなどによって、より実用的な自動運転技術が開発されるようになります。国内外で長距離の道路を走行する研究やデモなども実施されました。

そして、2000年以降も自動運転技術の研究開発は続けられ、2010年前後には自動運転技術に関するスタートアップが次々に設立されるようになりました。このような状況を背景に、2016年には米自動車技術会(SAE)によって、自動運転のレベルが定義されることになりました。それからは、世界各国で実証実験が行われたり、道路交通法が改正されたりと、自動運転を本格的に検討する段階に入っていきました。

2021年には日本国内で自動運転技術を実装した量産車が販売され、それ以降はより高度な技術を使った車両が世界各国で製造されるようになり、安全基準や法律面での整備も急ピッチで進められています。現在、製造・販売されている自動運転のレベルはさまざまですが、技術は日々進化を続けていますので、自動運転に全てを任せられる日も遠くないと考えられています。

自動運転のレベルごとの定義

自動運転では、レベル0から5までの段階に応じた分類が存在します。ただし、レベル0は自動化技術が導入されていないものであるため、ドライバーが全ての判断と操作をするので、実質的にはレベル1からが自動運転技術が実現された状態であると言えるでしょう。

レベル1

ハンドル・アクセル・ブレーキの操作が、相互に連動することなく自動化された状態です。事前に設定した速度で走行する技術、緊急時に動作する自動ブレーキ、車線を外れたことを検知してステアリングアシストを行う車線維持支援、などがレベル1に該当します。現在販売されている自動車にも、レベル1の技術が搭載されている車種が数多く存在しています。運転操作の主体は運転者とされ、対応する車両の名称は「運転支援車」となります。ほとんどの操作を運転者がするため、自動運転と言うよりも運転支援と言った方が、理解しやすいでしょう。

レベル2

アクセル・ブレーキ操作とハンドル操作が連動して運転操作をサポートする状態です。前を走行する自動車が停止すれば停止し、動き出せばそれに応じて動き出す機能などが該当し、これは先進運転支援システム(ADAS: Advanced Driver-Assistance Systems)と呼ばれ、搭載されている車種も販売されています。運転操作の主体は運転者で、対応する車両の名称は「運転支援車」です。レベル1よりも運転者の負担を軽くし、思わぬ事故を防ぐ機能などを有しますが、運転は運転者が行うものであり、運転の支援をするというレベルです。そのため、常に周囲の状況を注意深く把握するようにして、運転をする人が自動車の操作をしなくてはなりません。レベル2までは、運転者が責任を持って自動車の操作をすることが求められます。

レベル3

レベル3からは基本的に運転操作の主体は、自動運行装置となります。装置の作動が困難となった場合には人が運転することになりますが、特定の走行条件を満たす状況においては、運転者は座っているだけで、自動車の操作は全て自動で行われる状態です。緊急時に自動運転システムに代わって運転者が操作する時は、運転操作の主体は運転者となる点に注意しなくてはなりません。対応する車両の名称は「条件付自動運転車(限定領域)」となります。高速道路などの片道2車線以上ある場所で、時速60km以下の車の流れが順調な状況において自動運転するシステムを、2017年にドイツのアウディが販売しています。レベル3対応の自動車が走行するためには、それぞれの国で法律が整備されている必要があります。

レベル4

運転操作の主体は、自動運行装置です。特定の場所で全ての操作が完全に自動化されます。限定されたエリア内だけ自動運転が許可されますので、いつも同じルートを走行する路線バス、特定の地域内だけを走行するバスやタクシーなどのサービスに利用しやすい面を持ちます。レベル3では、自動運転中でも緊急時の対応は運転する人がしなくてはなりませんが、高度な自動運転と呼ばれるレベル4になると、自動運転中の緊急時対応も自動運行装置が行ってくれます。決められたエリアに限定されますが、人の操作が不要となるのが特徴です。限定エリア内での運転者の負担は、レベル3と比較すると大幅に減少します。対応する車両の名称は「自動運転車(限定領域)」となります。

レベル5

運転操作の主体は、自動運行装置となります。自動車の操作が完全に自動化され、人は何も操作することがありません。人が運転する必要がないため、ハンドル・アクセル・ブレーキなどの操作装置が不要となり、現在の車内のデザインとは大きく異なるものになることが想定されます。自動運転の限定エリアもなくなり、好きな場所を走行することができます。対応する車両の名称は「完全自動運転車」です。自動運転技術の最終的な目標はレベル5となりますが、技術面以外にも法整備、国土交通省による管理体制、社会的な同意など、対処しなくてはならない課題は多く存在します。実現すれば社会的な影響も大きいことから、慎重に作業が進められています。

自動運転の高度化に必要な技術とは

センサーによる認知

適切に自動車を運転するためには、周囲の状況を正しく認識する必要があります。自動運転においては、周囲の認識を行うために、画像を認識するためのカメラや障害物を発見するセンサーなどが用いられます。この各種センサーが、必要とされる性能を満たしていないと結果的に誤動作をおこし、事故に発展する恐れもあるのです。そのため、自動運転に用いられるセンサー類は、ただ認識できるというだけではなく、十分に余裕を持った性能を持ち、人間以上の認知能力を持つことが要求されます。高度な認知ができるセンサー類を組み合わせることで、安定した自動運転が可能になるだけではなく、突発的な状況にも即座に対応できる能力を持つことができます。

人工知能の判断

自動車を適切に運転するためには、常に周囲の状況を正しく判断する能力が必要ですし、時には複数の事を総合的に検討するなど、高度な思考が要求されます。そのため、自動運転ではセンサー類が認知した内容を、人工知能が正確に判断するようになっています。最初は正しい判断ができなかった人工知能も、数多くの実験を行って、どのような判断が正解なのかを学ぶことにより、瞬時に間違いのない判断ができるように成長しているのです。

自動運転システムによる操作

各種センサーのデータを基に人工知能が下した判断に従って、自動車を構成する装置に対して制御用信号が送られます。このような流れにより、時々刻々と変化する状況に対応した自動運転システムによる操作が行われます。

自動運転実現によるメリットとは

渋滞の解消

自動運転に関する研究によると、渋滞を生じさせないような運転をする一台の自動運転車がいるだけで、渋滞を緩和する効果があるとされています。そのため、自動運転が実現すれば、無駄のない効率的な運転が行われ、渋滞が解消されることが見込まれます。走行するルートも、最新の道路状況から最適なルートが選択されるため、より短時間で目的地に到着でき、渋滞ストレスを感じないドライブが可能になるでしょう。

環境汚染の抑制

無駄な加速や急ブレーキを繰り返すと、自動車が排出する二酸化炭素や排気ガスが必要以上に増えて環境を汚染してしまいますが、最適な操作を行う自動運転が実現すれば、環境負荷を低減できるでしょう。さらに、自動運転によって車体の寿命も延びますから、資源を大事に使うことにもつながります。これからは電気自動車の普及が見込まれますが、エネルギーや資源を大切に使うことは、地球全体の環境を守るためにも重要なことです。

交通事故の防止

現在は毎年交通事故が多発する時代です。特に飲酒運転や高齢者の運転による事故などは、大きな社会問題となっています。事故の原因は数多くありますが、運転する人の操作ミスや判断ミスがほとんどですから、自動運転によって交通事故が減少することが期待されています。交通事故によって毎年何十万人もの被害者が出ていますので、事故が減少して被害に遭う人が少なくなれば、交通安全の面だけでも、自動運転には大きなメリットがあると言えるでしょう。

移動時間の有効活用

完全な自動運転が実現された自動車には、操作に必要となるハンドル・ブレーキ・アクセル類などは不要となります。そのため、自動車で移動する人は、車内で運転に専念する必要がなくなります。現在は運転中に他のことはできませんが、自動運転車が実現すると、移動中でも自宅や職場にいる時と同じように、有効に時間を使えます。充実した時間を過ごせるようになることで、長時間の移動も苦にはならなくなるでしょう。

人による運転が不要

レベル5の自動運手車は、人が運転する必要はありません。そのため、仕事で自動車を運転する必要もなくなります。トラックなどの長距離ドライバーは、常に人員不足の指摘があり、少ない人数で仕事をするために労働環境を改善するのが難しいとも言われていますが、自動運手車が実現すればドライバーの負担も大きく減少するでしょう。自動車による輸送が今以上に充実すれば、社会全体で大きなメリットを享受できるようになります。

自動車保険料の抑制

人以上に適切な操作をする自動運転によって、交通事故が大幅に減少すると見込まれますので、その結果自動車保険料が安くなると予測されています。自動車保険は、事故が起こる確率が高い分だけ高額の保険料となりますから、安全運転をする自動運転車を利用すれば、保険料を節約する効果が期待できるのです。自動車保険料が大きな負担だと感じる人でも、自動運転が実現すれば維持費を抑えた上で、安心して自動車を利用できるようになるでしょう。

運転できない人でも自動車が利用できる

人が運転する必要がなくなれば、運転できない人でも自由に自動車を利用することができます。現在は運転できる家族に頼んだり、タクシーなどを利用するしか方法はありませんが、自分の好きなように利用できるのは大きな魅力です。他の人に遠慮することなく、好きな時に好きな場所に行くことができますから、快適な生活が実現します。特に自動車以外に交通手段のない地方で生活する人は、運転するのが困難な年齢になっても、自動車が使えることは大きなメリットです。

自動運転実現の課題

法整備

これまで自動車は、人が運転するものと考えられていたため、法律もそれを前提としたものとなっていました。そのため、自動運転を実現するためには、装置が自動車を操作する場合についても検討を行い、しっかりと法整備をしなくてはなりません。

運転する主体が運転者であるとされるレベル2までは、実質的には運転を支援するという内容であるため、これまで使われてきた法律が適用されますが、レベル3以降は運転の主体が装置であると判断されるため、新たな法整備が必要となります。

2020年に施行された道路交通法と道路運送車両法においては、自動運転レベル3に対応するための内容が含まれています。具体的な内容としては、公道走行時の交通規則や自動運転車の整備などが盛り込まれました。ただし、レベル3の自動運転車が事故を起こした時は、運転者の責任が問われることになっています。事故の原因が自動運転装置によるものであれば、自動車メーカーなどにも責任を追及できるケースも考えられますが、運転者の責任がゼロになるのは難しいとされます。

このように、限定的な自動運転であるレベル3であっても、従来の法律を改正する必要があるのですから、より高度な自動運転となるレベル4以降については、さらに慎重に内容を検討し法整備を行わなくてはなりません。

システムトラブルやハッキング

高度な自動運転のシステムが搭載されるほど、人の意志とは関係なく自動で動作する時間が多くなりますから、システムトラブルや悪意ある第三者によるハッキング対策を施すことが大切です。思わぬ原因で事故に発展しないように、システムの安全性を高める努力が求められます。

緊急時の対応

さまざまな状況を想定して、自動運転の実験が繰り返されていますが、起こりえる状況全てを試すことは極めて難しいことです。そのため、人命に関わる一分一秒を争う緊急時に、適切な対応ができるのかといった問題も生じます。

実用化の時期と各企業の取り組み

日本企業

部分的に自動化するレベル2までについては、既にトヨタ、日産、ホンダ、マツダなど主要な国内メーカーから販売されています。各社で搭載しているシステムの名称は異なるものの、先進運転支援システム(ADAS)と呼ばれる機能を持った車種を購入できる状況です。カメラやレーダーを用いて周囲の状況を把握し、警告・アナウンス・ステアリングの操作などを行うものですが、使われている技術などは各社独自のものとなっています。

条件付きの自動運転となるレベル3は、高速道路や専用道路などで一定以下の速度において作動する車種をホンダが限定販売しました。

国内の各自動車メーカーなどは、より高度な自動運転車の製造販売を目指していますが、法律やインフラなどの整備も関係してくるために、レベル4に対応した車種が販売されるのは、2025年以降だと予想されています。自動車本体以外の技術も必要になってくるため、他の業種の企業と協力して開発を進めるケースもあります。

海外企業(欧州・米国)

自動運転レベル3ではアウディのトラフィックジャムパイロットが有名ですが、海外の企業では、レベル2の次はレベル3ではなく、レベル4を目標とする企業が多いため、自動運転レベル4の実現に注目が集まっています。この点が、日本国内の自動運転の動向と違う点と言えるでしょう。

欧州では、アウディ以外にも自動運転車の公道テストの認可を初めて取得したBMWや、コンセプトカーを発表したメルセデス・ベンツなどがあるドイツが自動運転に関する開発の中心とされていますが、スウェーデンのボルボがレベル4の開発を行い、2030年には完全自動運転の実現を目指すなど、各国の企業が独自に自動運転車の開発を進めている状況です。ボルボグループの子会社UDトラックスが日本国内でレベル4の大型トラックの実証実験をしたり、2030年に完全自動運転車と電動トラックの量産化を目指すなど、積極的な取り組みを行っている企業も少なくありません。

米国では、グーグルの自動運転車開発部門で、2018年から自動運転のタクシーの有料配車サービスを開始し、ドライバーが同乗するサービスからオペレーターなしのサービスへの移行を検討するなど、さらなる技術開発を継続しています。他にも早い時期から自動運転車の量産化に取り組んだGMや、完全自動運転車によるサービスを検討するフォードなどの自動車メーカーも存在し、フードデリバリーサービスのUberなど他分野の企業が自動運転の開発を行うケースも多数あります。

さらに、電気自動車メーカーのテスラでは、レベル5の自動運転技術を開発しているとされています。カメラやセンサーなどによるデータをもとにAIが制御するシステムだと目されています。GPSや3次元マップのデータを使用するシステムの場合は、データがない地域では完全な自動運転が不可能であるのに対して、センターなどのデータのみに依存するシステムは何処でも自動運転ができる点がメリットです。

海外企業(中国)

中国では政策のもとに自動運転などの技術開発が進められ、自動運転タクシーの開発などで多くの企業が大きな成果を出しています。無人の自動運転の実証も開始されて、実用化目前とされています。

自動運転分野における中国の代表的な企業が、百度(バイドゥ)です。百度は、自動運転車向けソフトウェアのプラットフォームをオープンソースにする計画によって注目を集めています。自動運転レベル4の車両の量産化にも着手し、2021年における自動運転タクシーの量産モデルの価格は約870万円程度としています。百度が自動運転分野を先導する企業とされていますが、Didi Chuxing、WeRide、AutoXなどの企業が、各地で開発や実証実験を行っている状況です。

自動運転タクシー以外には、自動運転トラックの開発も積極的に行われ、TuSimpleやPlusなどの企業が注目されるようになっています。トラックの分野でも、実用化レベルに達しているとの情報が出ています。

まとめ

自動運転は、社会や産業など多方面に大きな影響を与える技術です。誰でも簡単に自動車が利用できるようになるだけではなく、交通事故や慢性的な渋滞など現在の自動車が抱える課題を解決する手段でもあります。世界各国の自動車メーカーなどが開発を続けているため、実現するのもそれ程遠い未来ではないと見込まれますが、自動運転をより実りあるものとするためには、メリットだけではなくデメリットも把握して、社会全体で自動車の使用方法などを真剣に検討することが重要です。

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る