オランダの再生可能エネルギー企業IBIS Powerが、ビルの屋上で太陽光と風力の両方からエネルギーを生み出すシステム「PowerNEST」を開発した。PowerNESTは中高層ビルの屋上部に垂直軸の風力タービンを配置し、そのキャノピーに太陽光パネルを敷く構造だ。
PowerNESTの革新的なデザインは、流体の流れの断面積を狭めて流速を増加させると圧力が低い部分が作られるベンチュリ効果が働くように設計されており、太陽光パネル単体を敷く場合と比べて6倍のエネルギーを生成する。このベンチュリ効果により、PowerNESTに吹き込む風の風速は40~60%増し、そよ風程度でも電力を生み出せる。風力タービンは、風速2~15m/秒での発電に適しており、最大風速60m/秒まで持ちこたえられる。
太陽光発電に関しては両面パネルを採用し、地面からの反射光も活用している。太陽光パネル自体が高温になって発電効率が低下しないよう、風を使ってパネルを冷却し、この冷却効果で10~25%発電効率を高めた。
PowerNESTは、都市部や内陸部にある5階建て以上の建物に適しており、住居、商業施設、公共施設を問わず、平らな屋根や屋上部分に1ユニットにつき50平方メートル以上のスペースがあれば設置できる。また、沿岸部や島では4階建て以下の建物の屋上でも機能するという。同社は、「PowerNESTは、自然をエネルギー源とし、エネルギーに強い未来の良い見本である屋上システムだ」と説明している。