3Dプリントで製造したNASAのロケットエンジン「RDRE」が、試運転に成功

Credits: NASA

NASAは2023年1月26日、回転デトネーション燃焼方式によるロケットエンジン「RDRE:Rotating Detonation Rocket Engine」の燃焼テストに成功したと発表した。

RDREは、従来のロケットエンジンとは異なる「デトネーション(爆轟)」と呼ばれる、超音速の燃焼現象を利用する。既存技術よりも少量の燃料で大きな出力を得ることができ、月や火星などの深宇宙へ航行する有人着陸船や、惑星間輸送船の動力源などの用途が見込まれている。

NASAが2022年にMarshall宇宙飛行センターで実施したRDREの高温燃焼テストは、十数回、合計10分近くに渡った。主要な結果として、金属素材を積層する3Dプリント技術「additive manufacturing」で製造した部材が、長時間の燃焼に耐えることを実証した。

同テストでは、フルスロットルで1分近く、4000ポンド(17.8kN)以上の推力を発生し、その間の平均チャンバー圧力は622ポンド/平方インチ(4.3N/mm2)を記録した。この圧力は、この設計のエンジンでは過去最高記録だ。

加えて、エンジン制御技術であるディープスロットリングと内部点火の成功も確認し、実用に近づいた。これにより、NASAと民間宇宙機関は、より多くのペイロードを深宇宙の目的地に運搬できるようになる。

NASAは今回のテストの成功を受け、従来型ロケットエンジンに対する優位性の検証を目的に、完全に再使用可能な推力1万ポンド(44.5kN)級のRDREエンジンの開発を検討している。

関連情報

NASA Validates Revolutionary Propulsion Design for Deep Space Missions | NASA

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