木星氷衛星探査機「JUICE」の打ち上げに成功――NICTなどが開発したテラヘルツ波分光計を搭載 

情報通信研究機構(NICT)は2023年4月17日、同機構などが開発したテラヘルツ波分光計(SWI)を搭載した木星氷衛星探査機「JUICE」の打ち上げに成功したと発表した。

JUICEは、水が豊富にある木星の氷衛星ガニメデ、エウロパ、カリストや木星大気および磁気圏を探査し、それらの系の相互作用を明らかにするとともに、巨大ガス惑星圏における生命存在可能領域(ハビタブルゾーン)について理解することを目的とした、欧州宇宙機関(ESA)の大型ミッションだ。

JUICEには、SWIの他に可視分光撮像カメラや可視/近赤外撮像分光計、紫外撮像分光計など合計11のサイエンス機器を搭載。SWIは、氷衛星の非常に希薄な大気および表面、表面下の調査や、エウロパ氷衛星の地下海から噴出するプリュームに含まれる組成の観測を実施。地球外生命発見のための条件となる生命必須元素の検出/定量、および自由エネルギーのための酸化還元反応環境の理解に挑戦する。

SWIは、日本をはじめドイツやフランス、スウェーデンなど合計8カ国が参加する国際共同プロジェクト。NICTは,SWIの主鏡や副鏡、駆動部のアクチュエータの開発を担当。日本が有する「超伝導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES)」の開発経験などを生かし、主鏡、副鏡の機械設計/製作、機械測定を実施した。また、独自の電磁波伝搬アルゴリズムを開発することで、データ解析アルゴリズム開発にも貢献している。

SWIアンテナ部および受信機部

JUICEを載せた「アリアン5ロケット」は、フランス領ギアナのクールー宇宙基地から打ち上げに成功。地球や金星でのフライバイを経て2031年に木星圏へ到達する予定だ。

関連情報

木星氷衛星探査機JUICEを搭載したロケットが打上げに成功!テラヘルツで生命居住可能性を探る|2023年|NICT-情報通信研究機構

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る