米タフツ大学の研究チームが、培養肉の大量生産に役立つ脂肪組織の作製技術を開発した。同研究成果は2023年4月3日、オープンアクセス誌「eLife」に掲載された。
現在、世界中で培養肉の研究開発が進められており、特に脂肪は肉の風味を左右する重要な要素だ。しかし、脂肪組織の大量生産は難しく、培養肉生産のボトルネックとなっている。本来、動物の体内では、血管が酸素と栄養を脂肪組織の中心までくまなく届けるが、現在の技術では血管網を再現できないため、中心で酸素と栄養が不足してしまい、十分な量を培養できないからだ。
そこで今回考え出されたのが、豚の脂肪細胞を平らな2次元層に成長させ、アルギン酸塩などの結合剤で層を重ね、3次元の塊にするという方法だ。食感や風味を評価するため、圧力耐性や脂肪酸構成を調査した結果、今回の方法により生成した脂肪は、天然由来の脂肪と非常に近いと分かった。また、結合剤の種類や量により肉の食感を調節できることが示唆された。
タフツ大学のDavid Kaplan教授は、「この方法は、バイオリアクターでの培養脂肪組織の大規模生産に応用できます。見た目も味も食感も本物そっくりな肉の量産を目指し、培養肉生産のあらゆる側面に目を向け続けていきます」と説明した。
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Lab-grown fat could give cultured meat real flavour and texture | For the press | eLife