- 2023-6-2
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- Tokamak Energy, X線, サンディア国立研究所, トカマク型核融合炉, プラズマ, 二次ガンマ線, 放射線, 核融合技術, 核融合炉, 水素燃料, 磁気コイル, 磁気制御技術, 電磁波, 高エネルギープラズマの中性子, 高温超電導(HTS)磁石
核融合技術ベンチャーである英Tokamak Energyは2023年4月27日、アメリカの国立研究所にて同社の磁気制御技術をテストすると発表した。このテストは、同社の高温超伝導(HTS)磁石を極限条件に曝して、運用寿命を通した核融合炉の性能を確認する。
トカマク型核融合炉でエネルギーを作り出すためには、太陽の数倍高温の「プラズマ」になる水素燃料を、トカマク内に閉じ込める制御技術が必要となる。同社のHTS磁石は、この制御に必要な強い磁場を創り出す。
発電の際、高エネルギープラズマの中性子から発生する放射線のほとんどは、トカマクの遮蔽物質に吸収される。発電施設を効率的に運転するためには、磁石がX線に似た電磁波の一種である「二次ガンマ線」に耐える必要がある。
今回発表した実験に際して同社は、イギリス本社で開発した独自のテストシステムを一旦分解し、アメリカ合衆国エネルギー省のサンディア国立研究所にあるガンマ線照射施設に移送して再構築する。
同施設は、原子炉の代表的な線量率のガンマ線にHTS磁石を曝しつつ、システムを収容できる、世界でも数少ない施設の1つだ。60年の運用に相当する寿命試験をわずか2週間で完了し、個々の磁石セットの研究と分析を6カ月間実施する予定だ。
なお同社は2023年2月、全長38kmのHTSテープを用いた世界初の磁気コイルを完成させるなど、この分野のパイオニアであり、2030年代の核融合エネルギー提供を目指して取り組みを進めている。