スウェーデンの研究者ら、バルサ材を原料に木製のバイオトランジスタを開発

スウェーデン王立工科大学とリンショーピング大学の研究チームが、バルサ材から木材電気化学トランジスタ(WECT:wood electrochemical transistor)を作製した。植物由来のバイオセンサーなどの電子機器として、農業や森林管理に役立つ可能性につながる研究だ。

木材は絶縁体だが、バッテリーやスーパーキャパシタなどの材料に使用するため、導電性材料を用いて改良された実績があるものの、これまで木材からトランジスタを作ったという記録はないという。

今回研究チームは、有機ポリマーで構成された導電性材料である導電性ポリマーで改質したバルサ材を使用した。その後、リグニンを除去することで木材の細胞壁の空隙率を高め、導電性ポリマーを含む液体に木材を浸した時の吸収性を改善することで、木材の電気伝導率を高めた。この導電性木材(CW:conductive wood)2枚を上部ゲート、下部ゲートとし、セパレータを介してもう1枚のCWを挟んで1mm厚のチャネルとし、全ての電極がCWで構成されるオンオフ比50のWECTを作成した。

WECTのテストを行ったところ、このトランジスタは、ゲート電圧の変化に対する反応もよく、有機電気化学トランジスタに似たダイナミックスイッチング特性を示したという。予備テストでは、バルサのほかにシラカバやトネリコもテストしたが、特にバルサ材は電極の作成に優れた性能を示すことが確認された。ただ、実験ではOFF動作に約1秒、ON動作に5秒以上を要したという。

このWECTの研究の主な焦点は、トランジスタの高性能化ではなく、外部電位を使用してCW の電気伝導度を変調できるという仮説を証明することにある。このデバイスのコンセプトは、特定の電気用途における、地球上の豊富で持続可能な資源の使用を促進するための良い例になると研究チームは期待している。

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