- 2023-6-8
- 化学・素材系, 技術ニュース
- Annex2, ASTM D7566, HiBD研究所, HiJET技術, NEDO, SAF, バイオジェット燃料, バイオディーゼル, バイオナフサ, 動植物性油脂, 北九州市立大学, 廃食用油, 持続可能な航空燃料(SAF), 新エネルギー・産業技術総合開発機構, 水素化, 水素化処理, 環境エネルギー, 研究, 航空燃料, 触媒
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2023年6月7日、環境エネルギー、北九州市立大学、HiBD研究所が、国産特許技術「HiJET技術」により、持続可能な航空燃料(SAF)の国際規格「ASTM D7566」の「Annex2」に適合したバイオジェット燃料の製造に成功したことを発表した。「Annex2」準拠のバイオジェット燃料を国内の企業や大学などが製造するのは初めてとなる。
ジェット燃料の分野では、SAFの開発が活発になっているが、実際にSAFを使用するにはASTM D7566の中で厳しい品質を満たす必要がある。そこで、バイオジェット燃料製造プロセスの開発を実施し、研究開発を続けてきた。
今回、新しい触媒を開発し、既存技術により低圧力、低温度でのバイオジェット燃料を製造。HiJET技術は、化石燃料から製造するジェット燃料と同様の化合物で構成されたバイオジェット燃料を、廃食用油など動植物性油脂から製造する技術となる。バイオジェット燃料は、原料の廃食用油を元に水素化を含めたいくつかの工程を経て製造する。
水素化処理にて油脂の中の酸素原子を除去しながら、炭化水素の芳香族化を防止した上で、航空機が飛ぶ氷点下の環境でも凍らないように異性化させて流動性を上げることが課題になっていたが、改良した触媒とプロセスにて課題を解決している。製造した燃料は、従来と比較して芳香族の生成を80%以上抑制、析出点は-65℃以下、芳香族炭化水素濃度0.05%未満となっており、バイオジェット燃料の国際規格を満たしている。
今後、今回開発したバイオジェット燃料製造プロセスの商用化を目指す。現在はパイロットプラントを整備し、連続運転を目指している。また、SAFの生産をスケールアップする中で得られるデータを活用し、バイオディーゼル、バイオナフサも商用化を目指し、温室効果ガスの排出量削減に貢献する。