カリフォルニア大、複数スキルを同時に学習すると認知能力向上に有効という研究を発表

カリフォルニア大学リバーサイド校(UC Riverside)が2023年4月、高齢者が複数のスキル(外国語、楽器、絵描きなど)を同時に学習すると、認知能力が向上するという研究論文を発表した。楽器演奏や絵手紙、英会話などを、いわゆる“ボケ防止”も兼ねて楽しむ多趣味な高齢者の話はよく耳にするが、その効果を裏付けるような内容だ。

今回、UC Riversideは2回の調査を実施。調査対象は第1回が平均年齢66歳の6人、第2回が平均年齢69歳の27人だ。参加者はスペイン語、iPadの操作、絵画など3つのスキルを同時進行で学習し、週に各クラス2時間で合計6時間、加えてモチベーションを保つための講義とディスカッションのクラスを1時間ほど受講。これを第1回では15週間、第2回では12週間継続し、参加者の認知能力を1年間にわたって調査した。

その結果、どちらの調査でも受講終了後の認知能力の平均値は受講前と比べ有意に高く、興味深いことに終了から時間が経つにつれ上昇していった。最も高い値を示した1年後では、第2回の参加者の認知能力の平均値が若年層を上回ったという。

この研究のベースとなったのは、子ども時代の学習環境を高齢者に提供すると認知能力の向上が得られるという、UC RiversideのRachel Wu准教授が提唱する仮説だ。Wu准教授は乳児期から青年期にかけての認知能力を向上する重要な側面として、全く新しいスキルを学ぶオープンマインドなインプット主導型学習、複数のスキルの同時学習などを挙げ、これらが高齢期の認知能力向上にも役立つとしている。

私たちは小学生時代、国語に算数に理科、社会、そして音楽、図工、家庭科など、さまざまな学習を当然のように同時進行していた。社会人となればこのような環境に身を置くのはなかなかハードルが高いかもしれないが、人生100年時代を迎えようとする今、新しいスキルの学習を長い老後の楽しみとするのも悪くないかもしれない。

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Full article: One-year cognitive outcomes from a multiple real-world skill learning intervention with older adults

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