大学教授、課題にChatGPTを使用したとしてクラス全員に落第点

2022年11月にOpenAIからリリースされて以来、世界に衝撃を与えている「ChatGPT」。さまざまな分野で活用が期待される一方で、その影響を不安視する声も少なくない。特に教育の現場では、まるで人間のような文章を作成する自然言語処理AIの登場が、生徒の思考能力や表現力の育成を脅かすのではないかと懸念されている。加えて、大学など高等教育の場では機密情報の漏洩や盗用などにつながる可能性があるため、日本でもAIのみを使った論文作成を禁じる大学が続出しているのが現状だ。

こうした状況の中、テキサス A&M大学コマース校の教授から学生たちに送られたメールが物議を醸している。メールを送ったのは農業科学と天然資源を専門とするJared Mumm博士。その内容は、提出されたレポートを確認したところ、ChatGPTが作成したものと判断したためクラス全員に落第点を与える、納得できない場合は補習課題を提出しなければ単位を与えないというものだ。メールを受け取った学生たちはショックを受けたことだろう。何しろこれにより、学生の半数は卒業が一時保留になったというのだ。

このメールのスクリーンショットがアメリカの掲示板型ソーシャルメディア「Reddit」に投稿されると、教授の対応に批判が相次いだ。問題視されているのはChatGPTが作成したと判断するにあたり、教授が行った確認方法の信ぴょう性だ。教授は提出されたレポートをChatGPTに入力し、AIが書いたものかと尋ねたところ、肯定したとしているが、ChatGPTはそもそもAIによって作成された文章を判別できるようには設計されていない。

OpenAI はAIが作成した文章を検出する専用ツールも開発しているが、それですらまだ開発途上だ。AIが作成したテキストの26%をAIによるものだと正しく判断したが、人間が書いたテキストの9%をAIが作成したものだと誤って判断するなど精度は高くない。AIと人が書いた文章を見分けるのは極めて難しいのだ。実際、投稿者とは別のRedditユーザーがMumm博士の論文をChatGPTに入力し、「あなたが書いたのか」と質問したところ、「Yes」と返答があったと投稿している。

このように、事の真偽は未だ明らかにはされていないが、その後の更新によると、実際に卒業の判断が保留されたのは全員ではなく半数程度で、大学側の個別調査によって正式な卒業認定が決定されることになるとのこと。また、クラスの数人は実際に学期中にChatGPTを使ったと述べたとも言われている。ChatGPTが高機能で便利なことは間違いないが、どう使うべきかは、まだ議論の余地があるということだろうか。

関連リンク

Texas A&M commerce professor fails entire class of seniors blocking them from graduating- claiming they all use “Chat GTP” : r/ChatGPT

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