- 2017-8-22
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- Elliot Hawkes, Science Robotics, ソフトロボット, 米スタンフォード大学
米スタンフォード大学の研究グループは、植物の蔓(つる)や真菌のように伸張しながら前進するまったく新しい形状のロボットを考案した。このソフトロボットは、基礎部分を固定した状態で先端部分を伸ばしながら先へと移動するため、災害救助や構造物の内部調査など、狭く複雑な経路でも侵入することができる。研究の詳細は、7月26日付『Science Robotics』誌に掲載されている。
このロボットは、筒状の薄くて細長い二重構造のプラスティックバッグを折りたたんだような構造をしている。基礎部分から空気圧や油圧などを加えることで、丸めた靴下や蛇腹(じゃばら)の玩具が延びるように、本体が先端部からスルスルと伸びていく。
研究チームが開発したコンセプトモデルは、先に取り付けたカメラが目標物(ランプ)を捉え、外側のバッグへの空気の入れ方を自律的に調整して方向を修正し、目標に向かって前進することができる。直径の10%程度の隙間をすり抜けたり、100キロの重量物を持ち上げたり、突起物あるいは粘着シートのある障害物コースもクリアした。
研究チームのElliot Hawkes氏は、「このソフトロボットは先端部が伸張しても全体のボリュームは一定なため、狭い空間での応用に最適だ」とそのメリットを説明する。研究チームは、今後ケブラーなど強靭な素材を使い、油圧で作動する量産モデルの開発を検討しているという。例えば、建物の倒壊などで瓦礫の山と化した現場でも、障害物を除去しながら進んで内部捜索を行うなど、災害救助の現場でも応用できるようになるだろう。また、本体の二重構造を生かして内部にケーブルなどを保持すれば、新たなケーブルの敷設方法としても利用できる可能性がある。
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