DX推進の転職成功のポイントは?DX求人の仕事内容や必要なスキル、転職市場動向を解説!

近頃、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく耳にするようになりました。DXを推進するために、転職情報サイトや人材紹介会社などを使って人材を募集する企業も増えています。皆さんの中にも、DX関連の業務に携わっている方や、興味を持ち始めた方がいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、DX推進関連の転職市場が盛り上がっているものの、その全貌と詳細をしっかりと把握している方はまだ多くないと思います。

そこで本記事では、DX推進に関連する様々な業務内容や求められるスキル、DX推進関連の転職市場動向、転職を成功させるポイントなどを解説します。DX推進関連の業務に興味を持っている方、関連するポジションへの転職を検討している方は、ぜひご一読ください。

DX推進とは

DX推進に関連するポジションへの転職について説明する前に、次の2点を確認しておきましょう。

1. DXとは
2. DX推進に関連する求人の転職市場動向は?

最初に「DX」という言葉の定義や、DXを取り巻く現状について触れていきます。
次に「DX推進に関連する求人の転職市場動向」について説明します。情報処理推進機構(IPA)や経済産業省の調査結果などを基に、関連する職種や将来性を見ていきましょう。

1. DXとは

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。
「Trans」には「超える、横切る」というニュアンスがあり、同義語の「Cross」に「交差する、十字架」といった意味があることから、「X」と略すことがあります。すると「Transformation」が「X-formation」になり、DigitalとX-formationの頭文字を取って「DX」と略されるようになりました。

では、DXには、どのような意味があるのでしょうか。経済産業省は「デジタルガバナンス・コード2.0」の中で、次のように定義しています。

“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。”

(引用:経済産業省 「デジタルガバナンス・コード2.0」

DXのことを「ビジネスチャットやWeb会議システム、タスク管理ツールなど、様々なITツールを導入・活用して、業務を効率化すること」くらいに理解している人も多いと思います。しかし、前述の経済産業省が策定した「デジタルガバナンス・コード2.0」の定義からすると、ただ業務を効率化するレベルではなく、さらに踏み込んで「製品やサービス、ビジネスモデルを変革する」ところまで実現することを目指していることが分かります。

その背景には、危機感があるのでしょう。GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)をはじめとする海外の大手IT企業によって、既存のビジネスが破壊される「デジタルディスラプション」が起きています。ITや通信技術の発達により、これからますますグローバルな競争が強いられることになるでしょう。そんな状況下で日本のDX推進は遅れており、このままではデジタル技術で海外企業に追いつくどころか、ますます差が開いていく恐れがあるのです。

2. DX推進に関連する求人の転職市場動向は?

そうした背景から、国を挙げて推し進めているDXですが、転職市場におけるDX推進関連の求人動向はどうなっているのでしょうか。

エンジニア専門の転職支援会社メイテックネクストによると、DX推進関連の求人は着実に増えてきているそうです。一方で、DX推進に対応できる能力・スキルを持つ人材、企業でDX推進を成功させた実績がある人材は圧倒的に不足しています。求職者が有利な売り手市場となっていますから、能力やスキル、あるいは実績のある人にとっては、DX推進に関連するポジションへの転職は成功しやすい状況だと言えるでしょう。

続いて、DX推進に関連する職種にはどんなものがあるのかを確認して、職種別の市場動向を考えていきましょう。代表的な職種としては、次の7つが挙げられます。

1. プロダクトマネージャー
DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材

2. ビジネスデザイナー
DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う人材

3. テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材

4. データサイエンティスト
事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる人材

5. 先端技術エンジニア
機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う人材

6. UI/UXデザイナー
DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材

7. エンジニア/プログラマ
システムの実装やインフラ構築・保守等を担う人材

これらの職種は、情報処理推進機構(IPA)が「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」の中で、「DXに対応する人材」として挙げた職種です。

(参考:情報処理推進機構 「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」P29)

ユーザー企業とIT企業(ベンダー/SIer)がそれぞれの立場から、これらの職種を採用しています。転職市場の動向をより正確につかみたいのなら、まずは自分がユーザー企業とIT企業のどちらの立場に身を置きたいのか、どの職種で働きたいのか、といった点を整理しておきましょう。

転職市場の動向を職種別に見ていくと、前述のIPAによる調査レポートでは、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーといった職種について、中途採用する比率は「少ない」と記されています。ユーザー企業においては、「現状に課題を感じていて、周囲からの信望が厚い幹部・管理職」「実際に現場で働いていて業務に詳しく、新規事業開発などに携わったことがある社員」といった、社内の既存社員から任命されることが多い職種と言えそうです。

しかし、社内で適任者を探しても見つからないケースも多々あります。あるいは適任者がいたとしても、すでに重要な業務を担っていて、DX推進に携わる余裕がないケースもあるはずです。

適任者が見つからない場合、外部から中途採用することになるでしょう。プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーの募集は「少ない」としても、実際にこれらの職種でDX推進を成功させた実績のある人材であれば、転職市場において非常に高く評価され、高年収で採用される可能性も高くなるでしょう。

続いて、テックリードやデータサイエンティスト、先端技術エンジニアについては、中途採用する比率は「やや多い」と同レポートは伝えています。高度な専門性やスキルの求められる職種ですが、条件を満たす人材であれば、非常に多くの候補の中から転職先を探すことができるでしょう。

また、テックリードや先端技術エンジニアなどの専門性の高いIT人材については、経済産業省が委託した「IT人材需給に関する調査」で次のような見通しが示されています。

“2030年時点でのIT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、生産性の上昇率が 0.7%の場合、需要が供給を16~79 万人上回ると試算され、需給ギャップの緩和に向けて生産性の向上を図る必要がある”

“IT需要構造の変化に応じて、従来型IT人材から先端IT人材へのスキル転換が進まない場合は、先端IT人材の需要が供給を上回る一方で、従来型IT人材は需要が供給を下回る可能性がある”

(引用:みずほ情報総研株式会社 「- IT 人材需給に関する調査 -」P73)

同調査資料の試算によると、2030年時点で最大79万人のIT人材が不足するとのことです。ただし、求められる人材は従来からのIT需要に対応するIT人材(従来型IT人材)ではなく、AIやビッグデータ、IoTなどの先端IT技術等に関連する市場を担うIT人材(先端IT人材)だとも述べられています。

テックリードなどの専門性の高いIT人材は、今後ますます需要が増すと考えられます。一方で、先端IT技術に携わっていないエンジニア/プログラマでは、市場価値が低下していく恐れすらあります。エンジニア/プログラマがキャリアアップを図るには、テックリードや先端技術エンジニアなどの高度な専門職を務められるよう、スキルアップに努めていく必要がありそうです。

DX推進に携わる代表的な職種とは?

DX推進の代表的な職種について、エンジニア専門の転職支援会社メイテックネクストの東京支社長 梅津 太一氏は、「代表的な職種としては、ビジネスアーキテクトを考える職種になるでしょう。そもそもDX推進の前提として、システムありきでの業務改革をするのではなく、既存の業務に対して変革することで、どのようなビジネスをつくり、会社の利益に貢献できるかがDXを推進する目的になるはずです。ビジネスアーキテクトは、業務改革を通じて新しいビジネスのゴールを設定し、そこに向けてプロセスをつくり上げることが求められると思います。DX推進は、デジタルを用いて既存のビジネスを拡張させたり、新規ビジネスを創出したりすることで、会社の経営を強固にすることが一番大切です」と語ります。

DX推進は、様々な職種・人材が関わることになります。ビジネスアーキテクトや前述の7職種にしても、求められる役割やスキルが違うため、まずは自身が興味を持てる職種、マッチしそうな職種はどれなのかを、把握するところから始めましょう。

1. プロダクトマネージャー

プロダクトマネージャーは、企業内でDXを推進するプロジェクトをまとめていくポジションです。大局的な視野を持って、DX推進に関わる人たちをリードします。企業によっては「CDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)」とも呼ばれ、DX推進の担当役員として任命されるケースもあるようです。DX推進以外も含めた広い意味での「プロダクトマネージャー」の平均年収は、Indeedによれば約732万円です。

プロダクトマネージャー職には、リーダーシップのほかに、変革すべき課題を見抜く力も必要です。DX推進は、実際に何をすべきか見えなかったり、反対されたりすることも少なくありません。プロダクトマネージャーは明確なビジョンとDX推進の必要性を説明して、経営陣や現場の社員たちを説得して巻き込んでいく社内営業力・調整力も必要でしょう。

DXを実現するためには強いリーダーシップが求められるため、大きなプロジェクトを成功させた経験や多人数の部署を率いる管理職の経験、経営陣を説得して組織を変革した経験などがあると転職のチャンスは増えるでしょう。
ただ、DX推進においてプロダクトマネージャーは非常に重要なポジションであることから、中途採用ではなく既存社員から任命する企業が多いはずです。

ですから、転職してプロダクトマネージャー職に就きたいのなら、「現職でDX推進のプロジェクトに参加して、プロダクトマネージャーとして目覚ましい実績を残しておく」「いったんは別職種として転職しておく。DX推進のプロジェクトに携わり、頭角を現してプロダクトマネージャーに抜擢される」――といったシナリオで目指していくのが現実的だと思われます。

2. ビジネスデザイナー

ビジネスデザイナーは、プロダクトマネージャーのビジョンを実際に目に見える形へ落とし込んでいく職種です。現状では「ビジネスデザイナー」という職種で働く人が多くないため、平均年収ははっきりと言えませんが、金融庁が2021年1月、転職情報サイトのビズリーチに掲載した、DX推進ビジネスデザイナーの年収1,000万円前後の求人が話題になりました。担う業務の重要性、求められる能力・スキルの高さを考えると、高収入が期待できる職種と言えそうです。

ビジネスデザイナーは、プロダクトマネージャーより現場に密着した業務を担うことになります。DXの実現に向けた事業計画書の作成やITツールを活用した業務フローの構築、具体的な仕事を現場メンバーに割り当ててやり方を教えていく役割が求められるでしょう。そのため、ビジネスの流れや実業務、デジタル技術を幅広く知っている必要があります。

また、ビジネスデザイナーは現場メンバーだけでなく、他部署や社外の人との調整や折衝などもしなければいけません。そのため、ビジネスやデジタル技術に強いだけでなく、誰とでも柔軟に交渉できるコミュニケーション能力も求められます。これまで多くの人と関わって新規事業を立ち上げてきたような事業開発系業務の経験者などが向いているでしょう。

ビジネスデザイナーも、プロダクトマネージャーと同じく非常に重要なポジションです。中途採用よりも社内で任命されることが多いでしょう。ビジネスデザイナーとして転職するのなら、DX推進関連の実績など、非常に高いハードルが設けられるはずです。それでも条件を満たす人材は希少なだけに、ハードルさえ乗り越えれば引く手あまたとなるでしょう。

3. テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)

テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)は、DX実現のために技術面をリードして、システムのグランドデザインを描く役割を担います。比較的多くの企業で活躍している「ITアーキテクト」という職種が近い業務・役割と言えるでしょう。Indeedによると、ITアーキテクトの平均年収は約762万円です。

テックリードは、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーなどから示された要件に基づき、様々なデジタル技術を比較・検討しながら、自社のDX推進に最適なシステムを構築する役割を担います。そのため、要件定義や基本設計などの仕様を決める上流工程から、実装やテストなどの下流工程までマネジメントできる、技術力や実務経験が必要です。
また、テックリードはエンジニアチームの代表となって、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーと接することも多いです。技術力の高さだけでなく、コミュニケーション能力も求められるでしょう。

テックリードという職種であれば、即戦力を求めて中途で採用しようとする企業も多いでしょう。これまでITアーキテクトやシステム開発のプロジェクトマネージャーとして培った経験があるなら、転職先の候補は多数あり、テックリードへの転職に成功する可能性は高いはずです。

4. データサイエンティスト

データサイエンティストは、DX推進のためのデータ分析や解析を担当します。Indeedによれば、データサイエンティストの平均年収は約471万円。近しい職種であるデータアナリストで調べてみると平均年収は約599万円です。

データサイエンティストやデータアナリストは、業務でビッグデータを活用するため、高度な統計スキルや数学の知識が求められます。それ以外にも、データベースやプログラミングのスキル、ビジネスへの理解も必要です。そして最終的には、データを収集して整理し、分析・解析することで、ビジネス課題を解決する糸口を見出すことが求められます。

この分野はまだ経験豊富な人材が少ないため、素養がありそうな人材を新卒・中途で採用して、入社後にデータサイエンティストとして育成するパターンもあります。大学や大学院でデータサイエンスを学んだ人であれば、即戦力でなくても就職・転職に成功する可能性は高いでしょう。

5. 先端技術エンジニア

先端技術エンジニアは、AIや機械学習、ブロックチェーンなど、最先端のデジタル技術に関する知見を生かし、DXを推進する職種です。「先端技術エンジニア」という職種名で募集されることはあまりありませんが、「機械学習エンジニア」に限った場合、Indeedによれば平均年収は約659万円になります。

技術の発達は日進月歩で、次々と新しい先端技術が出てきます。そのため先端技術エンジニアには、現時点における最先端の技術に精通しているだけでなく、これから出てくる新しい技術にもアンテナを張ってキャッチアップしていくことが求められます。

先端技術エンジニアはデータサイエンティストと同じく、経験豊富な人材がまだ多くはありません。社内で育成するほか、特定の技術分野に強い他企業と連携して補完するケースも多いでしょう。

6. UI/UXデザイナー

UI/UXデザイナーは、UI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザーエクスペリエンス)のデザインを担当します。Indeedによれば平均年収は約687万円です。

DX推進を声高に叫んでも、システムの使い勝手が悪ければ社員や顧客から不満の声が挙がってくるでしょう。そこで必要とされるのがUI/UXデザイナーです。

UI/UXデザイナーは、使い勝手の良いシステムをデザインして、ユーザーの満足度を高めることが求められます。そのためにはデザインスキルもさることながら、ユーザビリティを考慮できて、ユーザーの潜在的なニーズまで的確に把握できる能力が必要です。

UI/UXデザイナーは新たに中途採用するよりも、社内のデザイナーに頼むか、協力会社に外注するケースも多いです。そのため、UI/UXデザインを得意とするデザイン会社も転職先の候補に入れると、さらにチャンスは広がることでしょう。

7. エンジニア/プログラマ

エンジニア/プログラマは、システムを実装する役割を担います。近しい職種である「システムエンジニア」の平均年収は、Indeedによると約450万円となります。

業務としては、実際にコードを書いてプログラムをテストするほか、構築したインフラを保守することもあります。

エンジニア/プログラマもUI/UXデザイナーと同じく、協力会社に委託するケースも多いです。システム開発を請け負うSIerなども転職先の候補に入れると、より転職先を見つけやすくなるでしょう。

DX推進に関する求人の年収は?

DX推進に関する求人の平均年収は、ここまでに見てきた職種に限ると約450〜760万円ということになります。

しかし、この年収額は平均値です。例えば、プロダクトマネージャーやビジネスデザイナーは各企業が競って希少な人材を募集し合うことになります。実際の年収は、各企業の給与テーブル、求められる役割、転職希望者の実績やスキルなどによって異なるでしょうが、企業によってはかなりの高年収で採用することもあるでしょう。

データサイエンティストや先端技術エンジニアの年収については、情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2020」に記されている「IT人材の年収(現在、目標としている年収)」の調査結果が参考になりそうです。

同白書によれば、先端IT分野の知識やスキルが求められる業務を担当している先端IT従事者の場合、一番多い年収帯は「1000〜1500万円未満」(15.2%)。第2位は「600〜700万円未満」(13.6%)、第3位は「700〜800万円未満」「800〜900万円未満」が同率で10.8%でした。データサイエンティストや先端技術エンジニアが含まれる先端IT従事者の半数以上が、年収600万円以上だという結果になっています。

また、先端IT従事者が現実的な目標としている年収については、一番多いのは「1000〜1500万円未満」(23.6%)、第2位は「1500〜2000万円未満」(11.6%)、第3位は「900〜1000万円未満」(10.0%)でした。2000万円以上を目標とする割合が12.0%でしたから、先端IT従事者のおよそ半数が、年収900万円以上を現実的な目標として考えているようです。

データサイエンティストや先端技術エンジニアとして転職が成功すれば、かなりの高収入を目指せることが分かります。

(参考:情報処理通信機構 「IT人材白書2020」)

エンジニア求人を豊富に保有するメイテックネクストによると、DX推進に関わる求人の年収バンドは500万~1,500万円とのことです。DX推進は社内SEと異なり、専門性も高く、システム開発の最上流になるので、市場価値が非常に高い人材が対象になることから、求職者の年齢に対する平均年収よりも大幅に上回るケースが多いです。また、DX推進のポジションは大手SIerやコンサルティング会社の優秀な社員が担当する領域でもあるため、事業会社でも1,000万円以上のオファーを出して採用することもあります。同じ会社内でもDX推進ポジションであれば、同年代の社員より100から200万円以上高い年収を出すメーカーも目立ってきました。各企業で取り合いの人材なので、40代以上の管理職候補以上の方への1,000万円以上の年収提示はもちろん、求職者本人の希望した額でのオファーを提示する企業も多い傾向にあります。

DX推進に関する求人への転職を成功させるポイント

DX推進への転職を成功させるには、次のようなポイントを意識しておくと良いでしょう。

1. 攻めのDXに挑戦する
2. 守りのDXにも手堅く対応する
3. DX推進に本気で取り組む会社を選ぶ
4. 転職エージェントを活用する

株式会社NTTデータ経営研究所の「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」によれば、DXには「攻めのDX」と「守りのDX」の2種類があります。転職を成功させるには、自分がどちらのタイプのDXを推進する業務に携わりたいか、はっきりと意識しておくべきでしょう。もしくは、どちらにも対応できるように意識してスキルを高めておけば、転職先の選択肢は多くなると思います。

(参考:株式会社NTTデータ経営研究所 「日本企業のデジタル化への取り組みに関するアンケート調査」結果速報~日本企業のDXへの取り組み実態、成功企業の特徴について~

また、本当に「転職して成功した」と思えるようになるには、ただ「有名企業に採用された」「転職して年収が増えた」だけではなく、転職先で実績を上げて次につながるようにキャリアステップを踏んでいくことが大切です。そのためにはDX推進に形だけ取り組んでいるような企業を避けて、覚悟を持ってDX推進に取り組んでいる会社を選ぶべきでしょう。求人企業の内情にまで詳しい転職エージェントに相談して、最適な会社を紹介してもらうのも良いと思います。

ここからは前述のポイントについて、詳しく説明していきましょう。

1. 攻めのDXに挑戦

「攻めのDX」とは、競争優位性を獲得するためにDXを推進して、組織やビジネスモデルなどを抜本的に変革することです。

経済産業省が旗を振るDX推進のゴールは、攻めのDXに成功することであり、攻めのDXを推進できる人材は、これからますます需要が高まると予想されます。

エンジニア専門の転職支援会社メイテックネクストによると、攻めのDXでは次のようなスキルが必要になります。
・自社内の他部署を巻き込める、リードしていけるコミュニケーション力の高さやヒアリング力。
・協力ベンダーへの適切な指示を含む、プロジェクトマネジメント能力。プロジェクト推進力。
・タイムスケジュールを管理することができる。
・役員を始めとした経営層へのプレゼンテーション能力、資料作成能力。

攻めのDXを推進するポジションに転職してプロジェクトを成功に導くことができれば、あなたの市場価値はより一層高まることになるでしょう。

2. 守りのDXも手堅く対応

「守りのDX」とは、業務効率化などの社内を意識したDXで、攻めのDXに比べて取り組む企業が多くなっています。しかし、中々具体的な成果につながっていないのが現状のようです。

攻めのDXの前段階として、まずは守りのDXを推進する企業も多いため、あなたが勤務中の会社で守りのDX、例えば業務効率化などで実績を残しているのなら、転職活動時に内定をもらえる確率は高くなるでしょう。

3. DX推進に本気で取り組む会社を選ぶ

DX推進の業務で順調にキャリアステップを踏んでいくには、経営陣がDX推進に対して覚悟を持って取り組んでいる企業を選ぶべきです。「取り組んだほうが良さそう」というレベルではなく、「取り組んで成果を出さないと競合他社に負ける」という危機感を持った企業でないと、攻めのDXを成功させるのは難しいでしょう。

転職するのであれば、目先の利益や失敗にこだわらず、長期的な成功を見据えてチャレンジさせてもらえる企業が望ましいです。

4. 転職エージェントを活用する

現状、DX推進に取り組む企業の多くが、人材を選出・採用しながら、手探りでどのように組織やビジネスモデルを変革していくか、試行錯誤を繰り返している段階でしょう。

採用目的や入社後の業務内容などがはっきりと決まっている場合は、求人情報サイトなどで募集をかけやすいです。しかし、業務や待遇が明確に決まっておらず、手探りで進めていくところが多い場合、人材紹介会社を使って人材募集をかける企業も多いと思います。

人材紹介会社はDX推進関連の人材を募集したい企業へ直接ヒアリングして、どのような人材を求めているのか、どんな業務・待遇を想定しているのか、DX推進の取り組みがどの程度進んでいて、人材採用することでどのように発展していきたいのか――などの情報を収集しています。募集状況に応じて求める人材像や業務が変化していくこともありますが、人材紹介会社であれば採用担当者と折に触れてコミュニケーションを取っていますので、常に最新の情報を把握できます。

採用企業の文化・風土、前述したDX推進への本気度など、表に出しづらい情報も把握していることがありますから、人材紹介会社を利用して転職エージェントに相談すれば、求人情報サイトに掲載されている情報よりも、ずっと深い情報を得られるでしょう。

DX推進に関する求人の会社選びのポイント

一番大切なことは、転職を希望する会社がどのようなDXをやろうとしているのか、などの情報収集をすることです。また、その会社に関する業界や顧客となる業界も調べ、そこにどのような課題があり、将来的にどのようなことが想定されるかのイメージを持つことが大事です。そのイメージを持って「自分ならその課題に対して、このようにしていく」などの具体的な施策や戦略を立てることができれば、中途採用の面接の中でも志望動機に対して強力なアピールになるはずです。

沢山ある会社の中からどう選ぶかに関しては、会社の業績推移や事業投資に積極的かどうかを、IRの情報などで確認するのが良いでしょう。DX推進は最終的には社長や役員の決裁で実行できるかが決まるので、事業投資などに消極的でない姿勢が表れているかは、入社後のDX推進の業務の進めやすさに関わってきます。

また、転職する際に一番避けたいのは、ミスマッチです。入社後に「こんなはずじゃなかった!」「思っていたのと違う……」とならないように、自分の求めるものと、会社の求めるものが一致しているかを見極めないといけません。DX推進に関連するポジションについては、採用企業側も手探りで進めているところもありますから、重視するところ、気になるところはしっかりと確認しながら応募や選考を進めていった方がいいでしょう。

また転職した数年後、あるいは10年後に自分の市場価値がどうなっているかも想像しておいた方がいいと思います。DX推進に携わったことがある人材は、まだ決して多くありません。立ち上がって間もない分野だけに、どのような人材が評価されるのか、どんな経験を積んでおくと一層のキャリアアップを期待できるのか、不透明なところもあるからです。

例えば、エンジニア/プログラマとして転職する場合、末端の仕事だが好待遇の大手IT企業を選ぶよりも、給料は少ないが実業務に関する知見が増えて、テックリードを補助するような仕事も任せてもらえるユーザー企業へ転職した方が、数年先、10年先のキャリアを考えた場合、有利になるかもしれません。
将来のキャリアのことまで考えるなら、DX推進に関する求人を定期的にチェックするようにした方がいいでしょう。前述した転職エージェントに相談すれば、ただ求人を紹介してくれるだけでなく、将来まで見据えて求人の提案をしてくれますし、キャリア設計について相談に乗ってくれることもあります。キャリアに詳しい専門家に頼りながら、より理想に近い求人を探してください。

DX推進への転職なら「メイテックネクスト」

メイテックネクストは元々製造業に強いエージェントで、これまで機械系、電気系、化学系などの求人を多数取り扱い、成約を積み重ねてきた実績があります。また、製造業の現場で働く苦悩や厳しさを理解した元エンジニアのキャリアアドバイザーが多いです。こうした背景から、業務改革やビジネス改革の一環であるDX推進に関わる求人を、多くの企業から信頼されてお預かりしています。DX推進に関わる求人は、これまでの成約に関わってきたエンジニア職種が進化したものでもあり、機械系、電気系、化学系のノウハウを持つメイテックネクストは、エンジニアの皆様のDX推進への挑戦に貢献していきます。

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まとめ

DXの概要、DX推進に携わる職種別の業務や求められる能力・スキル、転職市場動向、転職を成功させるコツなどを解説してきました。

日本においてDX推進は、国が危機感を抱くほど待ったなしの状況であるにもかかわらず、まだまだ発展途上の段階です。成功事例となる企業が徐々に出てきてはいますが、各社が本腰を入れて取り組むのはこれからです。

DX推進のような新興分野の業務に携わるポジションへ転職するリスクがゼロだとは言い切れません。しかし、今後しばらく、企業にとってはDX推進の経験を持つ人材を採用したくても転職市場に候補者自体がいない状態が続くことでしょう。

そんなDX推進関連の業務をいち早く経験し、成功体験を収めておけば、転職市場において希少な価値を持つ人材として評価されることができるでしょう。その道の第一人者として、多くの人から称賛され、ヘッドハンティングされるような未来が待っているかもしれません。


記事監修
梅津 太一(メイテックネクスト 東京支社長)

中小から大手メーカーに対する採用コンサルティングを4年、その後はキャリアアドバイザーとして11年、延べ4000名以上のエンジニアのキャリアカウンセリング経験を持ちます。得意としていることは「求職者の強みの抽出」と「要素技術軸、工程軸(方法論)でのマッチング」です。昨今のマーケットは先が読みくいが故、自身が今どのような経験を積むべきか、また、どの分野(強み・弱み)に負荷をかけ成長を促すかを求職者と一緒に考えていきたいと思います。

エンジニア専門の転職支援会社

メイテックネクスト


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