- 2023-9-9
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- IEA(国際エネルギー機関), This Coal Market Update, ウクライナ危機, クリーンエネルギー, コロナ禍, 石炭, 貞森恵祐
IEA(国際エネルギー機関)は、2023年7月版の石炭市場に関するレポート「This Coal Market Update」のなかで、2022年の石炭消費量が前年比3.3%増の83億トンだったと発表した。この数字は新記録になる。
この増加の背景には、石炭需要のアジアへのシフトがある。2021年、中国とインドを合わせた消費量は全世界の3分の2で、2023年には70%近くになる。対照的に、アメリカとEUを合わせた消費量は、30年前に40%、20年ほど前は35%超、現在は10%未満だ。
石炭市場は2020年のコロナ禍、2021年のパンデミック後の反発、2022年のウクライナ危機による市場の混乱を経て、現状は予測可能で安定している。IEAが推定する世界の石炭需要は、2023年上半期で約1.5%増の約47億トンと推定される。
2023年上半期の石炭需要の減少率は、アメリカで24%、EUで16%と、従来の予想を上回るペースを記録した。ただし、2大消費国である中国とインドの需要が上半期に5%以上増加したことで、他の地域での減少分と相殺するかたちだ。
IEAでエネルギー市場・安全保障局長を務める貞森恵祐氏は、現状で石炭は最大のCO2排出源だが、欧米ではクリーンエネルギーの増加を背景に減少中だと指摘した。また、アジアでの高い石炭需要には、クリーンエネルギーへの移行を促す政策や投資が必要と説明した。
2023年の世界の石炭貿易は、前年の7%以上の増加という予測だ。全体的な需要の伸びを上回り、2019年の13トンという記録的な水準に近づくと予想される。
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Global coal demand set to remain at record levels in 2023 – News – IEA