NASA、マッハ4の極超音速旅客機に関するニーズを調査

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2023年8月22日、理論上マッハ2からマッハ4で飛行できる航空機による、超音速航空旅行のビジネスケースについて調査したことを発表した。

アメリカを含む複数の国は陸地上空での超音速飛行を禁止しているため、北大西洋ルートや太平洋横断ルートを含む大洋横断旅行を対象に調査が行なわれた。現在可能な飛行速度の最大4倍の速度での移動を商業市場はサポートできるのかというもので、NASAは「都市間を結ぶ約50の開設済み路線に潜在的な旅客市場が存在する」と結論付けている。

NASAは、この研究活動の他に、陸地上空での超音速飛行規定の変更に役立つデータを規制当局に提供する目的で、静粛性の高い研究用超音速航空機「X-59」を使用する「Quesst」ミッションも実施している。NASAの先進航空機プログラム(AAVP:Advanced Air Vehicles Program)は、高速旅行研究の次の段階に移行しており、空の旅の可能性を探り、マッハ2以上での旅行を現実のものとするために必要な技術を特定する計画だ。

これらの研究には2つのチームが参画しており、Boeing率いる第1チームには、航空宇宙企業の米Exosonic、GE Aerospace、Rolls-Royce North American Technologies、米ジョージア工科大学の航空宇宙システムデザイン研究所などが協力。米Northrop Grummanの航空システム部門が率いる第2チームには、音響エンジニアリング会社の米Blue Ridge Research and Consulting、超音速旅客機の開発を手掛ける米Boom Supersonic、Rolls-Royce North American Technologiesが協力している。各チームは、機体、動力、推進力、熱管理、超音速の高速下でも耐えられる複合材料など、ロードマップの要素を開発していく。

NASAの商用超音速技術プロジェクトマネージャーであるLori Ozoroski氏は、「私たちは10年以上前にマッハ1.6~1.8で同様のコンセプト研究を実施し、その結果で得られたロードマップは、X-59につながるものも含め、その後のNASAの研究活動の指針となりました。これらの新しい研究は、技術ロードマップに対する見方を一新し、より広範囲の高速域に関するさらなる研究ニーズを特定するでしょう」と述べている。

関連情報

Is a Mach 4 Passenger Jet Possible? NASA, Industry Explore Idea

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