生体物質とガラスを組み合わせた、鋼鉄より高強度で軽量な素材の開発

米コロンビア大学とコネチカット大学、ブルックヘブン国立研究所の共同研究チームが、生体物質とガラスを組み合わせて、鋼鉄より高強度で非常に軽量な素材を開発した。

同研究成果は2023年6月27日、「Cell Reports Physical Science」誌に掲載された。

防衛や医療機器、自動車分野などのさまざまな業界において、強度がありながら軽量な素材の需要が高まっている。

しかし、多くの材料には構造を乱すような欠陥や不純物が存在する。通常の製造方法では、応力がかかると簡単に割れてしまう欠陥ができるのだ。ガラスが壊れやすい材料であるのも、その欠陥に大きな原因がある。

デオキシリボ核酸(DNA)は、遺伝情報を伝える生体物質としてよく知られているが、材料科学者からは高い規則性のある高分子材料として注目されている。

DNAは、核酸の相互作用により指定した位置に整然と並ぶよう、自己組織化する。研究チームは、自己組織化したDNAを用いて、ナノスケールで組立自由なシリカガラス骨格の作製を試みた。

研究チームは、厚さ5nmの非常に薄いシリカガラスを自己組織化したDNAにコーティングし、内部に空隙を持った超軽量素材を開発した。微小な物体の強度を精密に測定できる、ナノインデンテーションと呼ばれる技術を用いて測定した結果、同素材は、鋼鉄の5分の1の密度でありながら、4倍高い強度を示した。これまでに知られている高強度で軽量な素材の中でも、最も優れているという。

研究チームは今後、カーバイド・セラミックスのような、ガラスよりも強度の高い材料をDNAと組み合わせる研究を計画している。将来、さらに強度の高い軽量素材の開発が期待できるという。

関連情報

Strength Is in This Glass’s DNA | BNL Newsroom

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