浮上して推進する電動水中翼船「Candela P-12」、量産開始へ

スウェーデンのCandelaは2023年11月16日、浮上して推進する旅客用電動水中翼船「Candela P-12」の試験航行に成功し、量産を開始すると発表した。

P-12は長さ11.99m、船幅4.5mの水中翼船で、時速18ノット(約33km/h)を超える速度で水中翼の揚力によって船体が浮上(フォイルボーン:翼走)する。船体と水面の摩擦がなくなることで、従来の高速船よりエネルギー消費を80%削減できる。そのため、バッテリー容量は252kWhと船舶としては小規模だが、最大航続距離は50海里(約93km)におよぶ。

試験航行では最高速度30ノット(約56km/h)を記録し、全速力でも後流(航跡)を最小限に抑えることが確認された。つまりP-12は、海岸線を浸食したり、ドックや係留中の船舶に損傷を与えたりしないため、そうした場所での速度制限から除外される可能性がある。これによって、電動水中翼船P-12は自動車やバス、ディーゼルエンジン推進のフェリーの速度を上回り、ストックホルム郊外のエケロと市中心部の通勤時間を約半分に短縮できるという。

30人乗りのシャトルバージョンのP-12の価格は170万ユーロ(約2億6600万円)で、同クラスの内燃機関船とほぼ同等だ。シャトルバージョンのほかに、ビジネスバージョンとボイジャーバージョンが用意されている。ビジネスバージョンは12〜20人乗りで、プレミアムなインテリアを装備。ボイジャーバージョンは、プライベートレジャーと商用の顧客向けに柔軟なインテリアデザインを提供する。

関連情報

World’s First Electric Flying Passenger Ship Takes Off, Enters Production | Candela Technology AB

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