大林組と慶應義塾大学は2018年10月16日、力触覚を再現する技術「リアルハプティクス」を、油圧駆動の建設重機に組み込むためのシステムを共同開発したと発表した。
リアルハプティクスは、現実の物体や周辺環境との接触情報を双方向で伝送して、力触覚を再現する技術。今回開発されたシステムを利用することで、建設重機の先端部が触れた物体の力や動き、触覚を得られるようになり、「対象物を正確につかめているか」「破損させてはいけない重量物を適切な力加減でつかみ持ち上げられているか」と確認しながら作業できるようになる。
建設重機の制御系は現在のところ、電動と油圧を組み合わせて駆動させるタイプが主流。同タイプの重機にリアルハプティクスを搭載するには、これまでは駆動装置をすべて電動に変更する必要があり、費用と時間がかさんでいた。
そこで大林組と慶應義塾大学は、油圧駆動制御に適したアルゴリズムを開発。制御機構の追加、操作機器の改造など、わずかな作業で既存の油圧駆動の重機にリアルハプティクスを搭載できるようにした。導入にかかる費用や時間を大幅に削減できるようになったと説明している。
現在は、実験装置を用いて検証作業を進めている。今後、同システム搭載の建設重機を使った実証実験に着手するとともに、人間が本来持つ感覚を利用して重機を繊細に稼働できるアーム型指示装置を開発する計画だ。