ロケットエンジン技術を応用した「ネガティブエミッション技術」の発電システムが登場

スタートアップ企業の米Arborは、CO2を除去しながら発電するという、「ネガティブエミッション技術」を特徴としたシステムを発表した。このシステムは、米SpaceXや米GEの出身者による航空宇宙分野での経験と、ロケットエンジンの技術を応用して開発された。

この発電システムの最初の行程は、森林、農場、埋立地などから廃棄物であるバイオマスを回収することだ。それらを運搬しやすくするために、シュレッダーにかけて細分化し、熱分解と呼ばれるプロセスによって、バイオマスを前処理する。

この工程の原理は、コーヒー豆の焙煎と似ている。原料を粉砕し、自然分解によるCO2の放出を防ぐ「保存安定性」を高めるのだ。この処理によって、森林廃棄物から処分場のゴミまで、どのような廃棄物バイオマスからでも炭素を回収できる可能性ができる。

焙焼されたバイオマスは発電所でガス化炉に投入され、化学反応を経て、気体の水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水に変換される。合成された気体は燃焼器に送られて酸素と混合され、酸素燃焼反応で純粋な二酸化炭素と水を生成し、熱エネルギーを放出する。

燃焼器から出た高温のガスは、ガスタービンで膨張して発電機を駆動し、ベースロード電力として送電網に供給して販売できる。エネルギーを取り出した後のガスは、冷却され、水蒸気は凝縮されて液体の水となり、農業や飲用に利用できる。

最後に、回収したCO2の100%を圧縮し、高密度の超臨界流体として地中に圧送する。地中に入ったCO2は、地球の鉱物と自然に反応して、石灰岩を形成する。これにより、回収されたCO2が大気から永久に除去され、自然の生物地球化学サイクルに戻される。

Arborは、2050年までに大気中から年間8ギガトンのCO2を除去し、同時に世界の電力需要の5分の1に相当する、年間5PWh以上の発電能力の達成を目指している。

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